承認欲求_レイス ページ6
ｰレイスsideｰ
A「レイスってここに来る前は何をしていたの？」
初めて彼女にそう聞かれた時、僕は答えることが出来なかった。
好きな彼女に嫌われるのが怖くて、僕の傍から離れていってしまうのではと思って。
(でも、Aなら、僕のことを…)
受け止めてくれるんじゃないか？
そう考えるようにもなった。
いつかはきっと話すことになる。そんな気がした。
その日の儀式を終え、いつものように二人で待ち合わせをし、談笑していた。
話に区切りがついた頃、レイスが少し不安げに口を開いた。
「…Aが前に僕の過去について聞いてくれたでしょ？今日はその話をしようと思うんだ。」
手が震え、鼓動が早まる。
話している今だってそうだ。
嫌われないだろうか、離れていかないだろうか、
こんな僕を、受け止めてくれるだろうか。
彼女の顔を見るのが怖い。
冷たい目で見られているんじゃないか？
軽蔑の眼差しを向けられているんじゃないか？
「…ってことがあってね。僕は今、ここに居るんだ。」
話せた。自分の過去を、ここに来るまでの出来事を。
自分の罪も、犯してしまったことも全部。
幸い、彼女は真面目に聞いてくれていたらしい。
目が合わない程度に軽く彼女の顔に目線を向けたが、真剣な表情をしていた。
「正直、僕は今ここに居ていいのかすら分からなくて、ただこうして君と話せてるだけで嬉しいんだ。」
「君は…どうかな？」
自分の価値すら、ここに来てから分からなくなっていた。ここでの僕は、ただ人を殺し続ける化け物であり、それ以上でもそれ以下でもない。そう思っていた。
でも、彼女と、Aと出会えて、こうして話しているうちに、ただの殺人鬼ではなく、人に戻れるような気がした。
Aは、僕の唯一の光だった。
A「私もレイスと話せて嬉しいよ。」
「本当…？」
A「うん。だから、そんな悲しい顔しないで。」
どうやら僕は泣きそうになっていたらしい。
目の前が微かにぼやけていた。
「僕は、ここに居ていいのかな…生きてて、いいのかな？」
打ち明けることなど無いと思っていた本音が、口から零れた。
A「大丈夫、ここにレイスを責める人は誰もいないから。レイスは自分の正しいと思ったことをしてここに来た…頑張ったね。」
嗚呼、そうか、僕は誰かに認められたかったんだ。
自分では受け止めきれなかった事実を、
自分では認めてあげられなかった僕自身を、
受け止めてくれる存在が欲しかったんだ。
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巳鶴(プロフ) - 金魚きんぎょさん» お気に入り登録ありがとうございます！！これからも頑張らせて頂きます！！ (2021年9月6日 8時) (
レス) id: d6bf55c45e (このIDを非表示/違反報告)
金魚きんぎょ(プロフ) - トリスタとゴスフェ推しなのでめちゃめちゃドキドキしました！お気に入り登録さててもらいます！！ (2021年9月5日 14時) (レス) id: fd80c7906a (このIDを非表示/違反報告)
巳鶴(プロフ) - Ruiさん» こちらこそ、リクエスト頂きありがとうございました！喜んで頂けたようで大変嬉しいです！！応援感謝致します、これからも頑張らせて頂きます！！ (2021年7月11日 8時) (レス) id: d6bf55c45e (このIDを非表示/違反報告)
Rui(プロフ) - リクエストにこたえてくださり有難うございます！！めっちゃくちゃドキドキしながら読んでました！これからも応援してますので、更新頑張ってください！！ (2021年7月11日 1時) (レス) id: 317d4adb16 (このIDを非表示/違反報告)
巳鶴(プロフ) - Ruiさん» 初めまして！コメント＆お気に入り登録ありがとうございます！！トラッパーのお話ですね！了解致しました。今週中に書かせて頂きます！！ (2021年7月6日 14時) (レス) id: d6bf55c45e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：巳門 零 | 作成日時：2021年5月4日 14時
