【文スト】我、妖狐なり

行方不明 ページ38

敦「なんで皆さん居るんですか？」


キョトンとしたまま、心底不思議そうに首を傾げる敦。

声をかけようとしたが、康成がそれを阻止した。



康「敦くん、残念ですが構っている時間はないですよ」


敦「あ……そうですね」


感動の再会のように思えたのはほんの一瞬だった。

敦はくるりと踵を返し、康成の後を追いかける。


手を伸ばしかけた鏡花から言葉が紡がれることは無かった。





が、しかし。
意外な所から声がかかった。




中「おい、流石にそれは無ェんじゃねェか」



声の主は中也だった。


関係性を知らない者からすれば意外だが、これは中也の兄心である。


振り返った敦は申し訳なさそうな顔をしていた。


敦とて探偵社の面々と話がしたいし、もう全部話してみたい気持ちに駆られているのだ。




敦「すいません、話はしたいんです。でも今話している時間が惜しいくらい大変で…」


中「あ？何かあったのか」


反応したのは、母に関係する可能性があるからだ。



康成がくるりと振り返る。


康「君も探してくれますか、中也くん。









辰雄くんの行方が分からなくなったんです」




中「辰雄の…？辰雄は母さんに一番、目をかけられてただろ。母さんから抜け出すなんて…」






数刻前を覚えているだろうか。

訪ねてきた春夫に対応していたAは、辰雄の監視をその間のみ外れた。

出来てしまったのだ、有り得ないことが。



一番目をかけていた可愛い子が消えてしまったら。
Aがどんな反応をするかなど、息子たる中也には手に取るように分かってしまった。


下手をすれば、ヨコハマどころか世界が終わるだろう。


想像した瞬間、その場に居た息子たち三人の顔から血の気が引いた。



中「康成さん…俺も加勢します…」


康「ありがとうございます」


敦「これで世界が救われる可能性が上がりましたね！」





あわあわと慌てる三人の傍らで現状を理解できていない二組織はキョトンと顔を見合わせた。




＿＿＿＿＿＿
作者のミカドです。
更新が大幅に遅れています、申し訳ありません…。

弟が今年受験生で、私も協力しろと言われてしまいパソコンを殆ど触れないんです…
何とか目を盗んで書いてはいるんですが、如何せん進みが遅いです…

頑張ってやれるだけ頑張りますので、応援よろしくお願いします…！

真実を→←早い再会

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す