【文スト】我、妖狐なり

影響 ページ34

敦が来なくなって七日を数えようとしている探偵社。

相も変わらず、舞い込んでくる依頼に横浜の街を駆け回る日々。


しかし、今までの当たり前が崩れて平然としていられない。
異能力者も、天才的頭脳を持つ人も。


彼らとてこの世を生きる一人の人間なのだから。






太宰に関する国木田の胃痛が無くなった。


谷「太宰さん、最近ちゃんと仕事するようになりましたね」


太「失礼だなぁ、谷崎君。私は昔からきちんとしていたさ！」


国「俺は、貴様が仕事を真面目にこなしている姿を見たことが無いが？」


太「国木田君まで！……敦くんの仕事を請け負うと云ったのは私だよ。きちんと遣らなければ敦君に怒られてしまう」


太宰は何でもないように笑うが、二人は苦い顔をするばかりだ。






鏡花のいる部屋が広くなった。

元々、敦の持ち物はそう多くは無かったが、何もない訳ではない。
矢張り、少しだけ広くなると違和感がある。

鏡「…おはよう」

起きた時、明るい「おはよう！」と云う声が無いのは、寂しさを増大させる。

何時か彼が帰って来た時、挨拶が自然にできるように今日も挨拶を呟く。






駄菓子を買いに行く要員が減った。


乱「駄菓子が無くなった！誰か買ってきてー！」


何時もなら「僕が行ってきます」と立ち上がる、一番足の速い子が居なくなった。


乱「駄菓子調達要員が居なくなっちゃった…」


例え名探偵でも、見えない未来はある。





治療室に来る人が一人減った。

異能力の副産物で多少の怪我なら自己回復する。
だからこそ自分が傷つくことを厭わない、自己犠牲の過ぎる子が。


与「妾の楽しみが人一人分減っちまったじゃないか」


今頃、自己犠牲の行き過ぎで大けがを負ってはいないだろうか。


与「手に負えないなら帰ってきなよ…」







居なくなったのはたった一人だ。



そのたった一人が与えた影響は大きい。






誰もがその一人を忘れることは無いのだ。




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作者のミカドです。

お気に入り登録者数が遂に100人を超えました！

ありがとうございます。
余りに増えたので驚いています。

基本的に週一でしか更新しないような鈍間なのに…


これからも「我、妖狐なり」をよろしくお願いします。

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