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警報14 ページ16

「はじめまして、尾崎さん」
 
 
「はじめまして」





こわーいお姉様方とある二年生に連れてこられたのは、体育倉庫だった。


お姉様方は外でじっと私たちを見ており、二年生だけが私と中に入って話している。


ずっと睨んでくるなーと思いながら待っていた第一声がこれだった。


変に返すより、無難に返す方がいいだろう。


英語の決まり文句に、"too"をつけただけだ。





ある二年生はそのあとずっと黙っていたので、さすがに名前をきいた。





「......神田友恵」





吐き捨てるようにぼそっと言う。だがしっかり覚えた。カンダトモエ。


その後、まだお互いだんまりが続く。


昼休みも、残り少ない。そろそろどちらかが喋り始めた方がいいだろう。


私は別にこのまま大人数でサボってこの問題を教師たちに知らしめたいが。





「私は、孤爪くんにくっついてるときから、あまりよく思ってなかった」


「......それは、研磨が好きだから?」


「なっ、......うるさい!!」





意を決してそうきくと、案の定だったらしい。


こんな狭いところで叫ばれて、キイィンと耳に響く。


これだけ大きい音を出したのに、お姉様方は特に動かず、神田友恵もじっと睨んだままだった。


そして、また口を開く。





「......それなのに、あなたは三年生にまで手を出して」


「黒尾先輩ね......」


「そう。私は孤爪くんに存在すら認めてもらえてないのに、あなたはどんどん手を出して......」


「............」


「そしたら、先輩たちが、一緒に復讐しない?って。ねえ、先輩!?」





神田友恵は、最後若干興奮気味に叫ぶと、後ろを振り返った。


もちろん、いるわけがない。


私は確信に変わった結論を、素直に神田友恵にぶつけた。





「......受験や就職があるのに、三年生がこんな茶番劇に付き合わないでしょう」


「はあ!?茶番劇!?だ、誰のせいで、こんな目に遭ってるのか......!!」





とうとう神田友恵は、嫉妬と怒りで狂ったのか、手をゆっくり振り上げる。


急に殴ってこない辺りがまた怖い。


本能が恐怖を感じとり、ゆっくりと体育倉庫の奥の方へ後ずさる。


もちろん神田友恵はついてくる。





「最後に、最後に......。私にだって、出来るから......」


「神田さん、落ち着いて。こんなことで人生を棒に振るべきじゃ......」


「こんなことって、何......!!」









体育倉庫に乾いた音が響いた。

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帝@シーチキン - 本当でした!すいません、わざわざありがとうございます!すぐ訂正しますね (2016年7月31日 16時) (レス) id: d212f37b7b (このIDを非表示/違反報告)
大空♪(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!あと、5飛ばしてますよ! (2016年7月31日 16時) (レス) id: 64041b24cb (このIDを非表示/違反報告)
帝@シーチキン - ありがとうございます!すごい自信になります!きちんと応えられるよう頑張ります! (2016年7月31日 13時) (レス) id: d212f37b7b (このIDを非表示/違反報告)
美鶴(プロフ) - この作品大好きです!頑張ってください! (2016年7月31日 13時) (レス) id: 99a34cabf8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:帝@シーチキン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MikadoSiic1/  
作成日時:2016年7月30日 12時

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