プロローグ ページ1
16歳の夏。つい最近のこと
許嫁に会わせてもらえると聞き、安堵で涙が溢れそうになったことを覚えている
『帝ノ鬼』に引き取られてから、約5年
最初はずっと泣き叫んでいた
両親の元に帰りたい
『帝ノ月』に戻りたい
だが、『帝ノ鬼』はそれを許してはくれなかった
誰も、僕の話なんて聞こうともしてくれなかった
東京。渋谷
そこにある施設に移されてからは、もう、泣く暇もなかった
勝たなければ死ぬ
勝たなければ死ぬ
勝たなければ死ぬ
ただ、毎日必死だった
新しい呪術を覚えることに
新しい幻術を覚えることに
新しい体術を覚えることに
無能だと判断されたらすぐ処分される
それが当たり前だった
そして今日が、許嫁との対面の日だった
これで、僕が殺されることはもうない
そんな考えが、頭を支配していた
許嫁が通っている高校の生徒会室で、顔も知らぬ彼女を待つ
「どうぞ、お入りください」
背後で、三宮葵の声が聞こえた
どうやら、許嫁が来たみたいだ
「もうちょっと愛想よくしなよ、勿体無い」
女性にしては少し低い、心地よい声
その声が聞こえた方へと視線を向けると、そこには中性的な美青年が立っていた
血のように真っ赤な髪に、珍しい白銀の瞳
よく見ると、体のラインは少し女性らしさを感じる
少しの間、彼女に見惚れていた
「来たか。まあ座れ。葵は外に出ていろ」
僕をここに連れてきた男、柊暮人が淡々と告げた
葵さんは静かに頷き、外に出る
暮人様が言う
「で、許嫁の話だが……海里、自己紹介を」
僕はそれに、人好きするような笑みを浮かべる
訓練で練習した笑顔
「夕凪海里と申します。A様のことは暮人様から聞いております。これからよろしくお願いします」
すると、彼女も笑みを浮かべる
完璧な、美しい笑み
「こちらこそ、よろしくね」
僕はそれに、思わず顔が熱くなるのを感じた
この後の会話はあまり覚えていない
いつの間にか、彼女の家に泊まることが決まっていて
……ああ、どうしよう。一目惚れかもしれない
そのとき初めて、僕は恋という感情を知った
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ゆうな(プロフ) - セラフ作品 , 全部読ませていただきました ! どれもお気に入りです 。更新楽しみにしています ! 頑張ってください ! (2018年10月12日 0時) (
レス) id: dbe1d7a27d (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - まゆさん» ありがとうございます。そう言ってくださると嬉しいです！更新頑張ります。 (2017年12月27日 19時) (レス) id: 0767b2f3df (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 続編おめでとうございます^_^面白かったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年12月16日 0時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2017年7月5日 20時
