12話 ページ14
「それで、私に相談したいことって？」
早速本題に入る
彼は忙しい身だ
あまり長居はできないだろう
彼は頷き、言う
「ああ。サンダルフォンという、私の造った天司のことなんだが……」
サンダルフォン
初めて聞く名前だ
私と同じように、ルシファーに言われて造ったものだろう
「彼とは中庭でよく共にコーヒーを飲むのだが……どうも最近、彼が冷たい気がする」
「何か気に触ることでもしたんじゃないか？」
「そうなのだろうか。だが、その心当たりが全くないんだ」
「君は鈍いからなぁ」
彼にはデリカシーというものがない
思ったことを素直に言ってしまう性格なのだ
しかもその言葉は、恐ろしいくらいに正論
それが彼の美点でもあるが、その言葉で相手が傷ついてしまうこともある
サンダルフォンがどういう人物か知らないため、なんとも言えないのだが
「……どうにかしたいのだが、何か案はないだろうか」
「素直に理由を聞けばいい」
「聞いたのだが彼は悲しそうに笑うだけで、私には何も言ってくれない」
その言葉に私は思案する
解決しようにも理由がわからなければどうしようもない
他の案は何かあるだろうか
黙り込んでしまった私に、彼は項垂れる
「……やはり、難しいだろうか」
随分とサンダルフォンに入れ込んでいるらしい
私たち以外にも大切な存在が出来たのはいいことだ
彼は立場上、親しくできる人が少ないから
……私としては少し、彼を取られたみたいで寂しいけれど
私は言う
「まあ、本人には言いにくいことなのかもしれない」
「私には言いにくいこと……？」
「案外、相手が知らない人の方が悩みを吐き出しやすいということもあるんだよ」
「そうなのか……」
私の言葉に、彼は呟く
それからこちらを真っ直ぐに見て、言った
「ならば是非、Aに頼みたい」
その言葉に、私は紅茶を啜る手を止める
「私でいいのかい？」
「ああ、君がいい」
彼の意思は変わらないようだ
彼からの珍しい頼みだ
ここで断るのも野暮というものだろう
そう思い私は、頷いた
「わかった、引き受けよう」
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うさ - 続き楽しみにしてます。 (2019年6月30日 18時) (
レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
東雲ノア(プロフ) - 表現、話の内容、書き方全てがとても好みです。久し振りに素敵な作品に出会えました。陰ながら応援してます。 (2019年4月5日 12時) (レス) id: be86295bcb (このIDを非表示/違反報告)
こまこ - 最高です。 (2019年3月24日 4時) (レス) id: 95e04e1a30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2019年3月14日 13時
