3話 ページ5
そのまた翌日、執務室の扉がノックされた
視線を寄越すと同時、扉が開かれる
入ってきたのは義理の妹であるシノアちゃんだ
彼女がもう一人の監視官である
今日はその報告をしに来たのだろう
彼女は私の机に積まれている書類を見て、へらりと笑う
「こんばんは、A姉さん。今日もお仕事大変そうですね」
「シノアちゃん、手伝ってくれてもいいんだよ」
「あはは。遠慮しときます〜」
シノアちゃんは半眼で、へらへらと笑う
彼女も8年前と比べるとだいぶ成長した
真昼にも劣らない美少女だ
……身長と胸は、あまり成長していないが
それはさておき、私は聞く
「二人はどうだった?」
「はい、早速ですがお二人共、お友達ができたようですよ」
その言葉に、私は目を丸くする
あの捻くれ者の二人が?
1日で友達を作った?
シノアちゃんは報告を続ける
「いじめられっ子だった早乙女与一くんを助けて、そのまま懐かれたみたいですね〜。与一さん自身が友達と言っていましたし、お二人も満更でもなさそうでしたよ?」
「思ったより早かったなぁ」
「これで約束、守らなきゃいけなくなりましたねぇ」
その言葉に、私は苦笑する
まさか昨日今日で謹慎が解けるとは
また色々と手続きをしないといけない
シノアちゃんは続ける
「ですが優さんは吸血鬼との交戦で負傷し、今は気を失っています」
そういえば今日、吸血鬼が脱走したとの報告があった
吸血鬼は無事に退治され、死人は出なかったと聞いているが
「そんなに重症なの?」
「日向さんと与一さんに勢いよく抱きつかれ、吸血鬼との交戦時に脱臼した肩に負荷がかかったらしく、あまりの痛みに気を失ってしまったみたいです」
「あはは、その調子だと大丈夫そうだね」
微笑ましい話だ
次期に優も目を覚ますだろう
私は言う
「わかった、三人に新しい制服を渡しておいて」
「三人?」
「監視を頼んでいた二人と、早乙女与一くんの分」
それに、首を傾げるシノアちゃん
私は答えた
「せっかく二人の友達になってくれたしね。与一くんって前回の入隊試験で落とされた子でしょう?だけど彼には才能がある。通わせても問題無い」
「A姉さんがそうおっしゃるなら異論はありませんが……」
一応は納得してくれたらしい
というか、それ以前に興味がないのだろう
彼女は滅多に心が動かない
私は言う
「じゃ、引き続き監視をよろしくね」
「あはは〜、了解です」
気の抜けた返事をして、彼女はいつも通り笑った
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年2月27日 0時