36話 ページ39
私はへらりと笑って、話題を切り替える
「でもシノアちゃんが怒るなんて珍しいね」
しかもその理由は優だ
今まで他人に興味なんて全くなかったはずなのに
《Aはもう少し他人に興味持っていいのよ?》
真昼が出てきて、私の前に顔を持ってくる
彼女の長い髪が重力に逆らって落ちる
髪越しにシノアちゃんの姿が見える
彼女には真昼の姿が見えないようだった
……鬱陶しい、邪魔だ
私がそう思うと真昼は苦笑し、消えた
「A中将?」
シノアちゃんがこちらを訝しげに見つめる
それに私はニヤリと笑って言った
「いや、シノアちゃんにも遂に春が来たのかと思って」
「春……?」
「あれ、優が好きだから怒ってるんじゃないの?」
その言葉に、彼女は目を見開く
私から視線を逸らした
彼女のわかりやすい反応を見て、笑う
「はは、青春だねぇ」
「なっ……」
「まぁ君たちがどうなろうと構わないけど。あ、でもそうなってくれた方が軍としては良いのか。是非とも人類繁栄に貢献してくれ」
「ちょ、A姉さん!!」
シノアちゃんにこの手の話題は早かっただろうか
彼女は更に顔を真っ赤にさせる
彼女の面白い反応が見れたところで、私は言う
「じゃ、もう帰ってね」
そう言って私は書類に目を戻した
それにシノアちゃんが慌てたように言う
「待ってください、私の質問に……」
しつこい彼女に、私は顔を上げる
いつもの微笑みを浮かべ、言う
「帰れって言ったんだけど、聞こえなかった?」
それに彼女は少し怯む
そんな彼女に対して、私は思い出したように言う
「ああそれと、あの薬は5日で抜ける。そろそろ優も起きるんじゃないかな」
私の言葉に、彼女は目を少し見開く
私は続けた
「好きなら側にいてあげたら?」
「………お忙しいところ、失礼しました」
彼女は不服そうな表情を浮かべながら、この場を去っていく
その背中が消えた後、私は大きく溜息を吐いた
「……めんどくさー」
椅子に背もたれにもたれかかり、気怠げに呟いた
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年2月27日 0時