25話 ページ28
上空から、吸血鬼の司令塔に向けて思い切りを振るう
吸血鬼はすぐにこちらに気づき、嗤う
刀が届く前に、あっさりと避けられた
ドンッと派手な音が鳴り、地面が抉れる
その衝撃で、砂埃が巻き上がり、何人もの吸血鬼を殺す
……結構本気で行ったんだけどな
砂埃が晴れ、吸血鬼の司令塔であるフェリドの姿を探す
彼は華麗に地面に着地するところだった
それを見て、私は言う
「まずった〜、殺し損ねた」
「何やってんだよ」
「想像以上に早いよ、あいつ」
私の言葉に、グレンがフェリドに視線を向ける
彼も最初の一撃で殺せるとは思っていないだろう
何たって相手は第七位始祖だ
私たちよりも相当強い
「まぁいい。ここを制圧すりゃ俺らの勝ちだ」
グレンが吸血鬼たちを見据える
「おーい、おまえら、人間の血は美味かったか?言っとくが……今のが最後の晩餐だぞ、おまえら」
そこで、彼の刀から呪いが溢れ出す
それに感化され、私の鬼呪装備が震えた
《本当にグレンってかっこいい》
私の横で、鬼が頬を染めて笑う
グレンに会うと、いつもこうだ
うるさくて仕方ない
まぁ、もう慣れたけど
そこで、フェリドが言う
「じゃあ、いい気になってる人間に思い知らせちゃいましょうか〜」
彼は適確に部下たちに命令を下していく
グレンが言う
「行くぞ、おまえら!!」
「はい、行きますよみなさーん。援軍に第十三位始祖のクローリーくんも呼んでますので、落ち着いて、冷静に」
「吸血鬼を皆殺しだ!!」
「下等な人間どもを、殺しなさい」
その号令で私たちは動き出す
私の部隊の任務は、グレンの部隊とともに司令塔を潰すことだ
責任重大なポジションだ
私は呟く
「力を寄越せ《真昼》」
それと同時に、力が供給される
欲望が溢れ出す
《あはははは、吸血鬼を皆殺しにしましょー♪》
八年前に殺したはずの姉が、無邪気に笑った
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年2月27日 0時