17話 ページ19
私は言う
「さて、鬼呪装備も手に入れて、ちょ〜っとチームワークっぽいことができてきたから、そろそろ一回、前線に出てみようか」
「前線!?」
優が目を輝かせ、こちらを見上げる
他のメンバーも驚いたように私を見た
「関西方面の吸血鬼たちが新宿奪還を計画していることがわかった。君たちにはその辺の調査に行ってもらう」
「じゃあ吸血鬼狩れんのかよ!!」
優が嬉しそうに言った
それに続き、他のメンバーも各々に感想を告げていく
「えええ、い……いきなり実戦なの?」
「ちょっと休みとかないのかよ」
「ハードスケジュールだね」
「……あはは」
横にいたグレンがこちらを見る
吸血鬼殲滅部隊《月鬼ノ組》を率いるリーダーとして、私の決定にご立腹らしい
「勝手に決めるなよ」
「でもそっちも人手足りてないでしょ?そこに黒鬼装備が4人も入るんだ、むしろ感謝するべきでしょ」
「おまえは別に何もしてないけどな」
「細かいことを気にするなって」
私が笑うと、グレンが呆れたように溜息を吐いた
そこで、携帯の着信が鳴り響く
私は携帯を取り出し、画面を見る
差出人は朝桐だった
私は通話ボタンを押し、答える
「何かあった?」
『至急、暮人様の執務室へ向かうようにと連絡がありました』
「わかった、すぐに行く」
それだけ言い、通話を切る
以前彼に任された仕事に関してだろう
本当は私がわざわざ行く必要はないのだけど
呼び出すということは、おそらく別に何か話したいことでもあるのだろう
……一回、自分の執務室に戻んないとなぁ
グレンが聞いてくる
「仕事か?」
「暮人兄さんからの呼び出し」
私の言葉に、彼は表情を固くする
グレンは優しい
こんな私を気にかけてくれる
だが私は気にせず、彼に言う
「じゃ、私戻るから。あいつらのことよろしくね」
「……わかったよ」
彼は渋々返事をする
彼の言葉を聞き、私は部屋を出た
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年2月27日 0時