10話 ページ12
儀式場の扉を開ける
そして彼らに言った
「着いたよ、ここだ」
中には無数の大きな鬼の像が並んでいる
いつ見ても異様な空間だ
優が呟く
「なんだここは……」
「君たちが欲しがってた、最上位の鬼神を封入した武器が集まってる部屋だよ」
「最上位の、鬼……」
鬼の像の前には儀式陣が敷かれている
その中心に、一つずつ武器が置かれている
これから彼らが契約する鬼を封じた武器だ
「じゃあ、これがあれば吸血鬼を狩れるんだね」
「そりゃあおまえの実力次第だろ」
日向の言葉にグレンが答えた
優がこちらを見る
「でもこれはおまえらの腰の剣と同じ……」
「そうだ、ここにあるのは希少な『黒鬼』シリーズだ」
「まぁでも、細かい説明はいいでしょう。さっさと始めよう」
私はこの後にも仕事がある
だらだらと彼らに付き合う時間はない
「で、どうすりゃいい?」
ゆうの問いに、グレンが答えた
「好きな武器を選んで儀式陣に入れ。武器に触れたら、自動で契約の儀が始まるようにできてる。おまえらが鬼に負けなけりゃ、力が手に入る」
「もし負けたら?」
君月くんの問いに、私は答える
「人喰いの鬼になるか、鬼の力に押し潰されて死ぬか。まぁ、どっちにしろ死ぬね。人喰いの鬼になったら、私が殺すから」
「……そんな」
与一くんが不安げな表情を浮かべる
だが、それとは対照的に日向と優は笑う
「はは、いいねぇ。俺はずっとこういうのを待ってたんだよ」
「Aさんに学校なんかに生かせるから退屈だったんだよねぇ」
二人はそう言って、儀式陣に足を踏み入れる
他の子たちも彼らに続く
優が言う
「力を手に入れて、家族を……ミカたちを殺した吸血鬼どもを皆殺しにする!」
「……私たち、そのためだけに生きてきたからね」
相変わらず復讐以外に興味がないみたいだ
それが変わっていけばいいんだけど
「抜け、そしたら始まる」
私の言葉と同時、彼らは武器に触れた
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作者名:もちもち | 作成日時:2020年2月27日 0時