異世界からの異端児 second1 (ページ11)

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9話ページ11

そこで、小百合ちゃんが控えめに手を挙げる

「あの、A様」

「ん？」

「無茶苦茶な試験については何も言いませんが……与一くんを『黒鬼』シリーズに挑戦させるのはどうかと思います」

「何故？」

「与一くんは心は安定していても、鬼を受け入れるだけの強さはまだないと思います」

彼女の言うことは最もだ
しかし、私は言う

「だけど日本帝鬼軍は隊員不足、吸血鬼殲滅部隊『月鬼ノ組』なんて特にそうだ。彼の成長を悠長に待っている暇はない」

シノアちゃんが言う

「ですが鬼は弱い人間を嫌います。与一さんはきっと、鬼に取り憑かれる」

二人の言葉に、私は思案する
それから与一くんに視線を向ける

「なーんて好き放題言われちゃってるけど、どうする？与一くん」

「え」

「今からやる儀式は下手したら死ぬ可能性がある。君は、命懸ける覚悟ある？」

「い……命……？」

私の言葉に、彼は戸惑う
それに追い討ちをかけるようにグレンは言った

「それともやめるか？死ぬのが怖きゃ、帰っていいぞ」

「勝手に決めるなよー」

「覚悟ない奴にやらせたって無駄だろ」

グレンの言葉に、与一くんが歯を食いしばる
優と君月くんも言った

「与一、帰れ。ここはおまえみたいな優しい奴がいる場所じゃねぇよ」

「……俺も同意見だ」

「そうだね。与一くん、帰ったほうがいいよ」

日向も同意見のようだ
与一くんを心配そうに見つめている

「え、あ……」

与一くんは不安げに自分の服の裾を掴む
少しの間の後、彼は顔を上げる

私の目を見据え、言った

「僕やります！！もっと強い力が欲しいから！！もう、大切な人を失わずに済むだけの力が欲しいから！！」

彼の言葉に、私は笑う
そして言った

「じゃ、そうと決まればさっさと行こうか。グレンはどうする？」

私はグレンを見る
それに彼は大きく溜息を吐き、答えた

「クソめんどくさいが、一応俺の生徒だからな。一緒に行くよ」

そう言った後、彼は小百合ちゃんに言う

「小百合、ここ頼めるか？」

「はい！」

主に頼られるのが嬉しくて仕方ないという顔だ
彼女の場合、別の感情も混ざっているが

「グレンって罪な男だよねぇ」

「はぁ？バカなこと言ってないで、さっさと行くぞ」

そして私たちは、儀式場へと向かった