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208話 ページ22

深夜の言葉に、グレンが聞く

「その案は、誰が囮だ?俺か?」

「いや、僕だよ。僕がグレン役をやる。五士に仲間がいるように幻術を使ってもらって、逃げる。その間に君らは新宿を突っ切る」

そんなことを言う深夜に、俺は口を挟む

「それなら囮は俺の方がいい」

「え?」

「俺が、囮をやる。お前の方が、グレンの役に立つだろ」

その言葉に、深夜は目を見開く
だが、気にせずに五士に言う

「五士は、それでいいか?」

「あー、いいぜ。確かにそれしかないしな」

五士はあっさりと答えた
そして雪が舞う空を指差し、

「このままじゃ、クリスマス終わっちゃうし」

残りのメンバーは、何も言わない

皆、わかっているからだ
俺たちが、死んでしまうことを

グレンが言う

「囮の方が死にやすい。俺がやる」

それに俺は言った

「柊真昼は、グレンを待ってる」

「………」

「お前が行くんだ。世界を救え。さっき偉そうに言ってただろ。だから、俺はお前を信じる。だからお前も俺を信じろ」

俺の言葉に、グレンはこちらを見つめる

不安げな瞳
まるで子供みたいだ

そんな彼の肩を掴み、言ってやる

「俺たちは死なない。だから、安心して世界を救ってこい」

嘘だ

俺たちはこれから死ぬ
そんなことはわかりきっている

だが、グレンが安心して行けるように、そんな嘘を吐いた

全員が、その嘘に気づいている

「五士、やるぞ」

俺は言う
すると五士も、あっさりと幻術を使い始める

囮のための幻術
ここで死ぬための、幻術

ここで、俺たちは死ぬ

グレンが言う

「……捕まったら、すぐに降伏してくれ」

それに俺と五士は笑う
俺は答える

「ああ、わかった」

「いいか?駄目だと思ったら、すぐに降伏だ」

「だからわかったって!グレンもちゃんと、世界を救えよ」

「……ああ」

深夜も言う

「まあ、気負いすぎずにね。僕らは別に、物語の主人公じゃないかもしれないしさ」

「………」

「別に僕らなんかが頑張らなくても、どこかで誰か特別なヒーロー君がいて、他の場所で頑張ってくれてさ、世界をどうこうしてくれるかもしれないから、もうちょい気楽にいこう」

なんて、彼は言ってくれる

だが、そうはならないとここにいる全員がわかっている

生まれた時から世界はずっと酷くて
頑張らなければ世界はもっと酷くて

頑張っても、世界は酷くて

……やっぱり、おまえの言う通りだったよ。A

結末なんて、変えられるはずがなかった

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きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました。こちらの作品の続編のタイトルはなんでしょうか? (2021年9月27日 19時) (レス) @page28 id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - 完結おめでとうございます!ですが19歳編、24歳編とまだまだ楽しみがいっぱいですね!そちらも更新待ってますので、お体に気をつけて頑張ってくださいね。 (2019年3月21日 0時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます。続編もよろしくお願いします! (2019年1月26日 22時) (レス) id: 4bf1c586cf (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - とりあえずの完結ですね!お疲れ様でした!続編楽しみです!((o(。>ω<。)o)) (2019年1月23日 18時) (レス) id: c9db1120e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきち(プロフ) - いつも読ませていただいてます!!更新頑張ってください! (2019年1月23日 1時) (レス) id: 4456c6b735 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2018年12月8日 9時

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