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189話 ページ3

それを見て、一言

「わあ、鎌だ」

平坦な口調で言った

《鎌だろう》

「確かに鎌ですねぇ」

《ああ。鎌だ》

いったいこれは、なんの会話だろう
私は聞いた

「で、その鎌さんが私に一体何の用でしょう?」

《君を見てあげにきたんだ。君は誰かに見られることを欲していただろう?》

「そうでしょうか?」

《ああ。君は確かに欲している。見られることを》

と、言われた

自分の中にもそう言った感情があるらしい
意外だ

そんなことを、他人事のように思った

「あなたは鬼ですか?」

《そうだね》

「私の欲望を食べるのですよね?」

《ああ》

「では私のその欲望は足りてますか?」

《まだ足りないね。胸と同じだ》

「……………一言多い鎌ですねぇ」

責めるような目で、鎌を見つめる

だが、鎌の表情は変わらない
なにせ鎌なのだから

私は頷き、言う

「やはりそうでしたか。あなたも残念でしたね。鬼は欲望の多い人が好きだと聞いています」

《いや、君にも大きな欲望はある。だが、その欲望を向ける相手が現れていないだけだ》

「欲望を向ける相手?」

《ああ。いずれ君は出会う。自分を見てほしいという相手に》

「いずれですか。明日とか?」

《いや、正確にいうと八年後だね》

「しかし、明日出会えないなら、明後日には世界が滅ぶと聞いています」

《君は生き残るよ。私が守るから》

「守るよう、姉に言われている?」

《いいや》

「ですがA姉さんは……あ、A姉さんって知ってますか?」

《……A?》

鬼が不思議そうに呟く
どうやら知らないらしい

「私の義理の姉なんですが……」

《いや、存在は知っている。だが……》

そこで、鬼の言葉が止まる
私が次の言葉を待っていると、鬼は言った

《いいよ、続けて》

「……そうですか?では話を戻しますね。A姉さんは、姉からあなたを託されたと言ってました。世界の滅亡から私を守るために、あなたが必要だと」

《そうだね》

「なら、あなたはやはり、姉に言われてここに来たのでは?」

《いいや。私は、望んで君の元へ来た》

「何故、私の元に?」

その問いに、鬼は黙る
答えたくないのだろうか

なら、別の質問をしよう

「ちなみに、あなたの名前は?」

《いまは、シカマドウジだ》

と、鎌はそう名乗った

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きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました。こちらの作品の続編のタイトルはなんでしょうか? (2021年9月27日 19時) (レス) @page28 id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - 完結おめでとうございます!ですが19歳編、24歳編とまだまだ楽しみがいっぱいですね!そちらも更新待ってますので、お体に気をつけて頑張ってくださいね。 (2019年3月21日 0時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます。続編もよろしくお願いします! (2019年1月26日 22時) (レス) id: 4bf1c586cf (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - とりあえずの完結ですね!お疲れ様でした!続編楽しみです!((o(。>ω<。)o)) (2019年1月23日 18時) (レス) id: c9db1120e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきち(プロフ) - いつも読ませていただいてます!!更新頑張ってください! (2019年1月23日 1時) (レス) id: 4456c6b735 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちもち | 作成日時:2018年12月8日 9時

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