206話 ページ20
同時刻
私はある研究所に訪れていた
場所は新宿中央公園の地下に広がる、巨大研究所
かつて《百夜教》の研究所があったところだ
だが、吸血鬼からの襲撃を受け、今は誰もいない
そこにいた人間たちは、吸血鬼に皆殺しにされたと報告されている
その誰もいないはずの研究所全体に、今日は明かりがついている
明るい、不気味なほどに静かな研究所の廊下を、私は歩く
ロックがかかっている分厚い封鎖扉は、刀で切り開く
そして私は、研究所の最下層へと向かう
最下層は儀式場になっているはずだ
長い廊下と、その先に巨大な儀式場だけがある階
階段を降りると、あらかじめ地図で確認した通りの構造になっていた
長くまっすぐに伸びた廊下
そしてその奥に、閉ざされて扉
「………」
私は、足を止める
これが、最後の戦いだ
真昼姉さんを殺し、計画を完成させる
それが今回の、父上から課された任務だった
私は大きく深呼吸した後、笑みを浮かべる
弱みなどは見せない
完璧に、演じてみせる
そして私は、最後の扉を斬り開く
儀式場へと、足を踏み入れる
儀式場は予想以上に広かった
体育館が二つ入りそうなほどの空間
高い天井
白い壁。白い床
その儀式場の中央に、七つの棺が並んでいた
そしてその向こう側に、誰かがいる
儀式場は広いため、ここから誰かは見えない
だが、わざわざ見なくてもわかる
私は歩を進める
誰かとの距離が近くなるほど鮮明に、その姿が見えるようになる
棺の向こうにいる、女
制服を着た、ひどく美しい女
灰色の長い髪
赤い瞳。鋭い牙
真昼姉さんだ
彼女は見知らぬ誰かの首に喰らい付き、その血を吸っている
彼女の足元には、複数の死体があった
首や腕が千切られている
彼女の周りだけ、白い床が真っ赤に染まっていた
死体の数は二十人ほど
『帝ノ鬼』の戦闘員もいれば、《百夜教》の研究者もいる
……見境ないなぁ
私はそれに苦笑し、彼女の名前を呼ぶ
「真昼姉さん」
するとゆっくり、ゆっくり、彼女はこちらを振り返った
口の周りについた血を、ブラウスの袖で拭う
「ああ、A。私を殺しにきたのね」
微笑んで言った彼女に、
「うん。殺しにきたよ、真昼姉さん」
私も綺麗に微笑んだ
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きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました。こちらの作品の続編のタイトルはなんでしょうか？ (2021年9月27日 19時) (
レス) @page28 id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - 完結おめでとうございます！ですが19歳編、24歳編とまだまだ楽しみがいっぱいですね！そちらも更新待ってますので、お体に気をつけて頑張ってくださいね。 (2019年3月21日 0時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - みぃちゃん，ｍさん» ありがとうございます。続編もよろしくお願いします！ (2019年1月26日 22時) (レス) id: 4bf1c586cf (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,ｍ - とりあえずの完結ですね！お疲れ様でした！続編楽しみです！((o(｡>ω<｡)o)) (2019年1月23日 18時) (レス) id: c9db1120e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきち(プロフ) - いつも読ませていただいてます！！更新頑張ってください！ (2019年1月23日 1時) (レス) id: 4456c6b735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちもち | 作成日時：2018年12月8日 9時
