検索窓
今日:13 hit、昨日:8 hit、合計:51,083 hit

205話 ページ19

優ちゃんの顔が、かすかに歪む
それを見て、私は思う

……面倒な性格だよなぁ、優ちゃんは

自分を殺そうとした親にも、愛情を感じているのだ
だからこんなにも、傷ついている

斎藤は続けた
冷たい瞳で、優ちゃんを見つめ、

「でも大丈夫。この孤児院には君と同じ嫌われ者仲間が……」

「斎藤さん」

一応、止めてやる

優ちゃんのためではない
好感度を上げるために、この行動を取っただけだ

優ちゃんとは長い付き合いになるだとうし、好かれているほうがやりやすいだろう

斎藤は肩を竦める

「ちょっと言い過ぎたね、ごめん」

彼の好感度は別にどうでもいい

どうせ彼は気づいている
その上で、彼は何も言わない

……一番、厄介な奴だ

斎藤が言う

「ようこそ、『百夜孤児院』へ。天音優一郎君。水城日向ちゃん」

その時、どこからか視線を感じた
そちらを見ると、同じくらいの年齢の少年がこちらを見ていた

金髪の少年と、黒髪の少年

黒髪の少年と、目が合う
彼を見て、何故だか少し、懐かしい気持ちになる

……本当に、どうして?

その日はクリスマス
ホワイトクリスマス

「ああ、ああ。この美しく醜い世界に残されているのは、いったいあと何時間なんだろう」

斎藤は雪の舞う空を見上げ、続ける

「ああ、僕は間に合わなかったな。今日は世界を救えない日だ。だから未来に備えなきゃ」

世界を救えない日
それは一体どういうことなのか

……まあ、どうでもいいか

くしゅんっと、隣で優ちゃんがくしゃみをした
斎藤は微笑み、私たちの背中に触れて、

「中に、入ろうよ。本当に風邪をひいてしまう」

「………」

そして私たちは、『百夜孤児院』へと足を踏み入れた

206話→←204話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (140 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
393人がお気に入り
設定タグ:終わりのセラフ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きゃーぽん(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました。こちらの作品の続編のタイトルはなんでしょうか? (2021年9月27日 19時) (レス) @page28 id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
コトノハ - 完結おめでとうございます!ですが19歳編、24歳編とまだまだ楽しみがいっぱいですね!そちらも更新待ってますので、お体に気をつけて頑張ってくださいね。 (2019年3月21日 0時) (レス) id: 611c145fdc (このIDを非表示/違反報告)
もちもち(プロフ) - みぃちゃん,mさん» ありがとうございます。続編もよろしくお願いします! (2019年1月26日 22時) (レス) id: 4bf1c586cf (このIDを非表示/違反報告)
みぃちゃん,m - とりあえずの完結ですね!お疲れ様でした!続編楽しみです!((o(。>ω<。)o)) (2019年1月23日 18時) (レス) id: c9db1120e8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきち(プロフ) - いつも読ませていただいてます!!更新頑張ってください! (2019年1月23日 1時) (レス) id: 4456c6b735 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もちもち | 作成日時:2018年12月8日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。