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結局人混みではぐれたら困るからって左手をするりと取られて、れいあくんの右手に納められている。
男の人と手を繋いだのなんていつだったかなと考えたけど、
飲み会帰りでフラフラになった井上くんに、掴まっとけばなんて言われたあの日以来。
……意外と最近。
「Aちゃん、」
『へ、な、なに?』
「表情コロコロ変えてどうしたの?」
『……いやあ、ちょっと』
今は別のこと考えんの禁止、と繋がれていた手のひらにぎゅっと力が込められた。
今度別のこと考えたらコイビト繋ぎしちゃうからね、とイタズラっぽく笑うれいあくん。
『気をつけます、』
「別に考えてもいいんだよー?」
私の指先をなぞって、今度は困ったように笑った。
……れいあくんといるのに井上くんのことを考えちゃうのは失礼だよなあ、
ふるふると軽く頭を振って、井上くんを頭の中から追い出す。
「あ、あれじゃない?」
『ほんとだ、混んでるかなあ?』
「平日だよ?空いてるんじゃない」
頭の中がすっかり井上くんから苺パフェに切り替わった私は、少し歩調を早めてれいあくんの手をグイグイ引いて階段に足を掛けた。
「お店は逃げないよ」
『……へへ、』
れいあくんに諭されて改めて落ち着いて階段を上る。
狭い階段だから一人しか通れなくて、左手が解放される。
「転ばないでね、Aちゃん」
『さすがに転びません!』
こんなところで階段落ちは披露したくないもん。
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檸檬(プロフ) - やっぱりアオさんが描く瑞稀くんが大好きです!! (2020年4月12日 13時) (レス) id: 7f7d842168 (このIDを非表示/違反報告)
陽菜(プロフ) - とても面白いです(*^^*) 瑞稀くんメッチャかっこいい! (2019年11月9日 16時) (レス) id: 33e6fc8eff (このIDを非表示/違反報告)
Jin(プロフ) - 楽しく読ませてもらっています〜。そろそろみずきくんの本領発揮させてください!更新楽しみにしています。 (2019年11月8日 15時) (レス) id: b6ce9f7cb2 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - すごい良いです!ユウピ担なんだけどみずっくんもれあくんもより好きなりました!頑張ってくださいね☆ (2019年11月6日 17時) (レス) id: 047315094b (このIDを非表示/違反報告)
涼音(プロフ) - すいませんこれみてたら、嶺亜くん落ちが見たくなってしまいました…ごめんなさい (2019年10月30日 17時) (レス) id: 8c6c513fbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アオ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=blueao5&scr=novel/jeyuto01...
作成日時:2019年10月23日 0時