きみのせい、【Mizuki.i】

#15 ページ15

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井上くんと家に向かう途中で、野良猫に遭遇。


かわいいなあ、と立ち止まると井上くんが猫のそばによってしゃがみ込んだ。




「あ、猫じゃらしあるじゃん」




めちゃくちゃ可愛い、とニコニコ笑う井上くん。


猫にデレデレな井上くんをストーリーにでも乗せてやろう、とカメラを向けた。




「俺が可愛いから撮ってんの？」


『可愛いね、……猫が』


「Aより可愛いよ」


『人外と比べられても？』


「でも、……」




でも、と井上くんが口ごもったところで、録画が止まる。




「ホントはAのが可愛い」


『っ、え？！』


「……なんて、今の載せんなよ、」




実は俺猫アレルギーなんだよねー、となんてことないように言って固まる私を置いて先を歩く。


可愛い、……？




『可愛い、』


「何ブツブツ言ってんの置いてくよ、」


『あ、待って！』




慌てて小走りをすると、なんにもないとこで躓いて、井上くんに危ねえ、と受け止められる。


……あれ、今井上くんがかっこよく見える。


いや、かっこいいのは知ってんだけど、なんかそうじゃなくて。




「危ないから大人しくリード繋がれてて」


『犬扱い？！』


「Aみたいな馬鹿犬飼いたくない、おてできる？」




前言撤回、井上くんは意地悪だ、


かっこよくなんかないもん、


井上くんにドキドキしたのなんて気のせいに決まってる。




『馬鹿犬だから噛み付いちゃうかもね！』


「ちゃんと躾てあげるから安心して」




……もう、井上くんのばか。




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