純白ブルース 【吉沢亮】

■スキという気持ちだけで ページ9

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それから桜木さんの進行で発表の準備は着々と進んでいる。
脚本は童話の「赤ずきん」をオマージュして、台詞や起承転結は自分たちで考えた。



『 例えば、実は赤ずきんちゃんはオオカミを狩るハンターで、か弱い女の子のフリをしてた…とか 』


「 こわっ 」


『 皆んなが知ってる話には、実は裏があるって設定の方が面白いかなって 』


「 なるほど。……ねぇホントに13歳だよね？ 」


『 何回聞くんですか (笑) 』




だってしっかりしすぎじゃね？
俺が13歳の時って何してたっけ…

どんな風に過ごしてきたらこんなにしっかりした13歳になるんだよ

心の中で突っ込んでいると




『 あ、吉沢さん 』


「 っはい 」


『 もし良ければ……赤ずきん役をお願い出来ませんか？ 』




えっと…………えっ？？？？？

待って待って、俺がオオカミ役じゃないの？
ずっとそのつもりでいたけど？

それは………天然？

桜木さんの中に俺が赤ずきんちゃんになるって選択肢があんの…？




「 ………嘘でしょ？ 」


『 そっちの方が面白いかなって…(笑) 』


「 半笑いじゃん！(笑) 」


『 すみません (笑) 自分で想像して可笑しくなっちゃいました (笑) 』


「 何ツボってんだよ (笑) 」


『 でもほら！設定自体も裏をかいてるので、面白いかなって！……どうですか？ 』


「 まぁ……良いんじゃね？ 」


『 ！ 』




驚いた顔で、嬉しそうにプロットに書き足していく桜木さん。
こういう発表は初めてだって言ってたのにどこか慣れてるよな。
俺は割とサクサク進んでる事にビックリしてる。




「 なんか、凄いね 」


『 えっ？ 』


「 こういう風に脚本作ったりとか…設定考えたり…難しくない？ 」




別にどこかで習ったわけじゃないだろう

だけど、彼女からはなんか……眩しいオーラみたいな物が滲み出ている気がする。

上手く言葉に出来ないけど、いつの瞬間も楽しそうなんだよな。

俺の言葉に目を丸くして
次の瞬間、ふわりと瞬くみたいに笑って






『 だってお芝居好きですから。凄く楽しいです！』





その瞬間が、凄く綺麗だと思った




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"1位は吉沢・桜木ペアです"


発表は無事に終わり、俺達のペアは何とそのクラスで1位に選ばれた。

驚きと嬉しさが混じり合って2人で思いっきりハイタッチをした。




あの瞬間が、あの感覚が

いつまでも残っている。






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