■スキという気持ちだけじゃ ページ22
________________
少しだけ肌寒くなってきた夏の終わりの夜に事務所の近くにある駅まで足を運んだ。
夜は冷える季節に、人の居ない裏通りの路上に座り込んだ。
背負っていたギターをケースから出してチューニングする。
たまにだけど、人の居ない路上で練習がてらギターを弾くのが楽しみだった。
歌を歌うのは昔から好き。
だけど好きって気持ちだけじゃどうにもならない事もあるってこの世界に入ってよく分かったから、誰かに披露した事はなかった。
でも実際はただ自信が持てなかっただけだ。
「 なにしてんの 」
『 ……吉沢さんこそ 』
顔を上げたら吉沢さんが居て驚いた。
人通りの少ない場所を選んだのに、
「 俺は事務所に用事。Aは…… 」
『 ……歌の練習 』
「 へぇー 」
何やら楽しそうに目の前に座った吉沢さんは「 歌好きなんだ 」って物珍しそうに呟いた。
ギターは弾いたことあるけど、誰かの前で歌を歌ったことって今まで経験がない。
『 ……まぁ、 』
「 全然知らなかったんだけど 」
『 言ってないからね 』
「 言えよ 」
『 なんでよ、(笑) 』
「 ……聞きたいじゃん 」
『 ……上手くないよ 』
「 でも聞きたい 」
こんな展開聞いてない。
せっかく歌うなら…上手に歌いたいよ
"聞きたい"って言ってくれたし
『 ………笑わないでね 』
「 うん 」
________
______
___
歌を紡いで流れ恐る恐る顔を上げると、吉沢さんと目が合った。
その顔はよく分からないけど……どういう顔なんだろう。
表情からは全然読み取れなくて少し怖い。
『 ………吉沢さん、 』
「 ………なんなの? 」
『 え? 』
「 ……めっちゃ感動したんだけど 」
『 え、おぅ… 』
な、なんでちょっと怒ってるの?
それはどういう感情?
「 まず声がめちゃくちゃ綺麗 」
『 あ、ありがとう? 』
「 それにめっちゃ上手い。お前が言うなって感じだろうけどさ 」
『 いや吉沢さんも上手いじゃん 』
「 Aに言われたくないし 」
さっきから吉沢さん、若干怒モードだけど褒めてくれてると思っていいんだよね。
ちょっと分かりづらいよ!吉沢さん!
__________
302人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まりも(プロフ) - 旭さん» 旭さん。こんばんわまりもです。コメント有難うございます。ひっそりとですが訂正させて頂きました。いつも読んで下さって有難うございます。更新頑張ります! (2021年8月26日 22時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
旭 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読みました。 今読んだばかりなのにもう続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月26日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
旭 - こんばんは(*^^*) 夜遅くにすみません。。。 更新ありがとうございます。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 素敵な木曜日のここの部分 そんな目で見られた買うでしょ。 らが抜けてませんか? 正しくはそんな目で見られたらではないんでしょうか? (2021年8月26日 1時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - 旭さん» 旭さん初めましてまりもです。タクシーの所は変換ミスだと思います。ご指摘頂いた通りです!「透明になれ」の意味ですが全部無かった事になれば良いという意味で付けています。わざわざコメント下さり有難うございます!更新頑張ります! (2021年8月17日 10時) (レス) id: d967e47327 (このIDを非表示/違反報告)
旭 - また続けてのコメントですみません。 物語読みました。 続きが気になります。 更新待ってますね。 (2021年8月17日 0時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まりも | 作成日時:2021年8月14日 20時