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KCONの会場に入ると
既に沢山のスタッフさんや出演者の方々がいて
トイレ行こうと思って廊下を出た。そしたら急に
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「あ!!」
『……!』
「ダリアさんでしょ!」
『えぇ……あにょはせよ』
「やっと会えたね!あんにょん〜〜」
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やっと、ってどう意味か気になるけど。
目の前にいる男の人(男の子……が正しい?)は私の手を取ってブンブン振るもんだから、流石に苦笑いした。
この人、距離のつめ方のクセが凄い
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『えっと、バンタンソニョンダンの……』
「おぉ〜名前分かる?」
『ヴィ先輩、ですよね?』
「うん。合ってる合ってる」
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嬉しそうに笑った顔が子供みたい。
幼く見えるけど多分私より年上なんだろうね。
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「ずっと君に会いたかったくて」
『え、あ、有難うございます』
「デビュー曲毎日聴いてるよ!」
『わぁ……嬉しいです』
「でさ、ここで会ったのも何かの縁だし」
『???』
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さらっとポッケから取り出した紙を私の手の平に置いて、そのままぎゅっと手を握るヴィ先輩。
包み込むみたいな大きな手に顔を上げればヴィ先輩はニッコリ笑った。
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「これからも宜しく、ダリアちゃん」
『お、え?』
「じゃあ僕行くね!」
『あ、え、はい』
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ウインクしてこっちに手を振るヴィ先輩はそのままどこかへ行ってしまった。
手の中に残された紙を開いて見ると数字が並んでる。
電話番号……だよね。これ
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『(………私ケータイ持ってないんだけど)』
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捨てるのは申し訳ないしなぁ……どうしよう。
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「あら、A……何してるの?」
『ジヒョヤ!ちょうど良い所に来た!』
「うん?何?」
『これ見て、』
「………あんたダッシュされたね」
『え、やっぱりそう言う意味?』
「番号貰ったって事はそう言う事でしょ。Aが好きか、気になるか」
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やっぱりそう言う事……?だけどがっつり初対面の人にいきなり電話番号渡すって、凄くない?
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「Aはそう言うの疎かったわね」
『連絡するべき……?』
「でもケータイ持ってないじゃない。事務所のとか100%アウトだよ」
『だよね』
「ケータイ持つまで待ったら?」
『うん……そうする』
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すみませんヴィ先輩……!
心の中で呟きながら、まだ綺麗なその紙をそっとポケットにしまった。
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作者名:Kaulu | 作成日時:2019年11月12日 10時