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美『今まで、ありがとう！！！大好きです！！』

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ドーム中に響き渡るファンからのありがとう！の声。
その歓声の大きさと多さに美桜も涙なしにはいられない様子だった。

ドーム裏で見守る私も泣きそうになった。
けど、泣かないって決めてるから、私は絶対に泣かない。

卒業公演を含む、ラストツアーは、

札幌ドーム
京セラドーム
東京ドーム
ナゴヤドーム
ヤフオク！ドーム

の五大ドームツアーで締めくくられた。

そして、
『アイドル西野美桜』を終えた美桜がステージ裏へとはけ、たくさんのスタッフさんに拍手をもらっていた。

「美桜、お疲れ様。」

美「A、本当にありがとう！」

美「ワガママ言って、ごめんね。」

「いいえ、お疲れ様。」

そう言うと美桜が私の胸に飛び込んできた。

私のマネージャーとしての人生が一つ、終わった。

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同①「Aはこれからどうするの？」

一つ仕事を終えた私に、同僚たちが後日お疲れ様会という名の飲み会を開いてくれた。

「うーん、」

同②「他のタレントとかなんなりのマネージャーに移るんだよね？」

「うーん。なんか、美桜送り出したらもうこの会社から転職しよっかなぁとも……。」

同①「えっ、マネージャー職辞めちゃうの？！」

「それはなぁ。マネージャー職好きだから、会社だけ変えようかなっとも思ってて。」

私がそう言うと、同僚の一人が口を開いた。

同②「あ、この前友達がマネージャーしたい中年女性探してた。(笑)」

中年って……。
とも思っていたけど、まあ確かに言われてみればその年齢層だとスマホに写り混む自分の顔を見て思う。

「今年で35って私も中年かぁ～～。」

同①「美桜は結婚したのに、マネージャーは結婚できないっていうね(笑)」

「うるっさい！(笑)」

同②「どう？さっきの話。」

「そこ行こっかな(笑)」

同②「OKー、じゃあまた連絡とるわ。」

この決断が、私のこれからの人生を180度変えてしまうなんて、
このときは何も思わなかった。