壊れた忍

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タカ丸「学園内の案内は、こんな感じかな。どうだった？」


A「.....別になにも.....」


タカ丸「そっか」


本当に何も感じなかった。

広い。


ただそれだけだ。


タカ丸「A」


A「なんだ....！」


名前を呼ばれ、ふと顔を上げた。


すると、両手で俺の頬を包んだ、斉藤タカ丸。


タカ丸「Aは、綺麗だよ。誰よりも....」


A「....綺麗なわけ、ないだろう....俺は.....」


タカ丸「綺麗だよ」


A「！」


こいつは、なんなんだ......


俺がこの学園に来て見た中で、一番弱いのに.....


なんで、こんなに......


A「ここに居るやつは、みんな優しすぎる。なぜ、こんなに......」


タカ丸「優しいって思う？」


A「少なくとも、俺は.....自分の長を殺そうとしたやつを生かそうとは、しない.....」


タカ丸「そうだね。言ってたでしょう？学園長先生が、生きろって。その命令に従ってるだけじゃないんだよ。君に、心を失った君に.....」


頬から手を離され、トン....と人差し指で心臓の当たりを指さされた。


タカ丸「人の原動力は心だ」


A「！」


タカ丸「君の心を....俺は、取り戻したいの。君はおもちゃじゃない。人形じゃない。君は、一人の人間だよ」


A「......」




ふわ、ふわ.....小さな風が俺の中に吹き込んできた。


少しだけ、ほんの少しだけど......






心が、ポカポカした。

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