目立たない六年生 (ページ49)

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食満「あーあ。風邪ひくぞ〜？」

伊作「ぐっすりだね」

A「すぅ.....」

きり丸「ん、ふす......」

二人、抱き合いながら、すやすやと眠っている。

伊作「Aときり丸は似てるからね」

食満「ああ。なにか、感じるものがあったんだろうな」

最愛の、自分の命より大切だと言っていた友人を無くしたAと最愛の家族を失ったきり丸。

僕たちには、分からない、辛さだ。

食満「ほれ、部屋に寝かさないと。風邪ひくぞ」

伊作「うん。だね」

土井「！いた！！」

食満「土井先生」

土井「きり丸を探していたんだ。図書室を出ていってから見つからないって言っててな。こんなところにいたのか.....」

土井先生がそっと、きり丸を撫でた。

土井「きり丸、きり丸！」

きり丸「ん、ん〜......ど、い、せんせ.....」

土井「風邪ひくぞ。ほら、起きなさい」

きり丸「ん、はい.....」

のそりときり丸が起き上がった。

伊作「A、起きて」

ぽん、ぽんとAの背中を叩いた。

A「いさく.....とめ、さぶろ.....おはよ」

目を擦りながら、起き上がったA。

伊作「ほら、帰ろ？ご飯食べないと.....」

食満「腹減ったろ？」

A「うん.....」

きり丸「A先輩！」

A「ん？」

きり丸「また、話しましょーね！！」

A「！おうっ！またね！アルバイト、手伝うからね！」

きり丸「！はいっ！！」

A「じゃ、また明日！」

きり丸「また明日！！」

きり丸と別れた。

伊作「きり丸と何話してたの？」

A「なーいしょ！」

食満「なんだよそれ。教えろよ」

A「やだね。俺ときり丸だけの秘密！」

伊作「だってさ」

食満「はぁ、しょーがねぇな」

A「ほら、早くご飯食べよ？」

伊作「だね」

食満「おう」

三人で食堂に向かった。

今日は、いい日だった。楽しかった。