目立たない六年生

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きり丸「それで、A先輩は......」


A「俺さ、人見知りって言ったじゃん」


きり丸「はい」


A「あれ、半分は嘘」


きり丸「え？」


A「俺、人と関わるのが怖いんだ」


きり丸「怖いん、すか？」


A「うん。怖いって言うよりは、怖くなった」


あの時から......


きり丸「なんで、ですか？」


A「俺ね、すっごく仲がいい友達がいたんだ。蓮太郎っつってさ」


きり丸「はい」


A「俺が、心から信頼できた初めての友達だった。でも、死んだんだ」


きり丸「っ、え？」


A「六年生に上がるための進級試験で、蓮太郎は、俺のことを庇って、死んだ」


辛かった.....後を追おうと何回思ったか、分かんない。


A「まだ辛い。引き摺ってんだ」


きり丸「そう、なんすか.....」


A「うん。でもさ、伊作たちが俺のために色々してくれる。俺、あいつらが大好きなんだ」


きり丸「！」


A「きり丸も大好きだろ？」


きり丸「はいっ！大好きです！」


きり丸に親近感が湧いたのは、俺と同じような経験をしてるから.....

でも、きり丸のがよっぽど辛いだろう。


A「んー！！今日は、天気がいいね。ね、きり丸」


きり丸「？なんすか？」


A「少し、寝ないか？」


ドサッと草っぱに寝転がった。


A「ほら、おいで」


きり丸「っ、はい」


ポスッと隣に寝転がった。


A「〜〜♪」


鼻歌を歌った。

歌の名前、なんだっけ。あ、あれだ。『再生』

最近、つっても、俺が死ぬ前ね。好きなボカロPさんが作った曲。

落ち着くんだ。俺が一番大好きな歌。


A「浅い、悪夢なら....全て、許せたのに....」


静かに歌ってると......


きり丸「すぅ.....」


きり丸が眠ってた。


A「おやすみ。ゆっくり休めよ」


そう言って、きり丸のおでこにキスをひとつ落とした。


A「ふ、ぁ.....寝よ....」


俺も目をつぶった。

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