目立たない六年生

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A「......」


泉「A！帰ってきた、の、か.......」


穂澄「！！」


頬には、涙のあと、光の消えた目、憔悴しきったAの顔。

Aの手には、いつも首に下げてた指輪の掛かったネックレスが握られてた。

そして、そのネックレスに掛かってた指輪は、Aのと、もう一つ。


蓮太郎のがあった。


A「.......」


その顔も、そのネックレスも蓮太郎がいないことで、理由がわかった。


蓮太郎が、死んだ。


泉「これで、試験は終わりだ。各自、部屋に戻れ」


当時五年生「はい」


文次郎達は、帰ってった。


A「......」


だが、Aだけは、その場から動かなかった。


穂澄「A？どうしたの？」


A「おれの、せいだ.....おれの、せいで.....蓮太郎は.....おれのせいだ.......」


虚ろな表情で、譫言のように呟くA。


泉「Aっ！」


A「おれ、の、せい.....おれが、みてれば....蓮太郎は.....」


穂澄「A、部屋に戻って。今は、休んで」


A「はい.....」


Aは、ふらついた足で部屋に戻った。


泉「恭ちゃん.....」


穂澄「倫ちゃん。俺は、当たって欲しくなかった。こんな、辛い、嫌な予感なんて、当たって、欲しくなかった......」


恭ちゃんは、その場で泣き崩れた。


泉「俺だって、当たって、欲しくなかった.....Aと蓮太郎は、ずっと、一緒でいて欲しかった.....おれはっ.....」


悔しかった。辛かった。いつも一緒の二人がバラバラになってしまったから......



その日からか。Aの笑顔が減ったのは。Aが人と関わることを減らしたのは。人と関わろうとしなくなったのは......

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