キミと夏恋 ~N.yuto/U.hidaka ~ (ページ20)

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しかし、次の日も、その次の日も、那須が目を覚ますことはなかった。

優「ほんとに病院行かなくていいの？」

締め作業をするゆうくんが、突然そんなことを言った。

『うん、お店あるから』

優「後悔しない？」

『分かんない』

優「え？」

『もう分かんなくなっちゃった』

仕事が終わって、夜になり、つい心が弱くなってしまったのかもしれない。

私は、初めてゆうくんに弱音を吐いた。

『好きなところなんて全然ないし、
一緒にいても喧嘩ばっかりだし、
別に会いたいとか、思ったこともなかったのに、
別に平気だって思ってたのに、
もし、那須にもしも万が一のことがあったらって思うと、胸が苦しくて……
会いたいのに、会いたいけど、怖いの』

言葉にすると、胸の奥がツーンと熱くなって、涙が込み上げてきた。止めどなく溢れる涙。

周りには、まだまばらにカップルや大学生の集団が居たけど、そんな周りの目も気にならないぐらい、ゆうくんの前で泣いた。

ゆうくんは、そんな私のことを隠すように抱きしめてくれた。

優「言っただろ、」

大丈夫。たったその一言が、胸の中のわだかまりを、溶かしてくれるような気がした。