キミと夏恋 ~N.yuto/U.hidaka ~ (ページ17)

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結局、その日は1日病院で過ごした。

那須の隣で寝てしまっていたらしい。病室の外からは明るい光が差し込んでいた。

飛「んん……おはよ、」

私に寄り添って眠っていた人がもう1人。飛貴くんはグーっと伸びをして目を覚ました。

『ごめん、ずっとここに居てくれたの？』

飛「俺が居たかったから」

『あ！ゆうくんは？』

飛「お店あるから、って先に帰ったよ！」

『そっか…… 』

がらんとした冷たい病室の中。
那須はまだ目を覚まさない。

飛「 Aちゃんも着替え取りに一回帰らない？」

『私は、もうちょっとここに居ようかな』

飛「分かった！じゃあ、なんか必要なものとかある？食べたいものとか！」

『あ、いいよ、
飛貴くんも家帰ってゆっくり休んで』

飛「ダメだよ」

いつになく真剣な顔で、低い声で、こんな飛貴くんは今まで一度も見たことがない。

飛「もっと自分のこと大切にしなきゃ」

そう言って私を抱きしめる飛貴くんは、いつも通り優しかった。

飛「ここで待ってて！すぐ戻ってくるから」

『あ、うん…… 』

離れていく彼の背中。
空っぽになった胸の中が寂しくて、残された手でそっと那須の手を握った。

『好きだよ…… 』

無意識に出たその言葉は、居なくなった彼に対する想いなのか、目の前にいる彼に対する想いなのか、分からなかった。