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ルビー「第三十五話」柊狠「妻との思い出」 ページ17

麗十視点

みなが動揺を隠せずにいる
顔を青く染める者もいれば
硬直する者もいた

幻十「麗十…様?」

幻十が力のない声を上げる
弱々しくて、小さな声だ

幻十「なんで…?」

息子に娘
他の当主候補たちもその問に対する答えを求めていた

麗十「…妻が決めたことだ。私にはわからぬ」

そう言い残し、居心地の悪い部屋から出て行った

…きっと、みなの者は“全て“を妻が考えたとは信じていないだろう



少し歩けば、妻と初めて出会った少し広めの部屋に出る

あれは、月の綺麗な晩のことだ出会った
ただの家柄のためにされたはずのお見合いで、私たちは

白色の艶やかな短髪
切れ長の海のような瞳
赤く染まった唇

そこに座り、静かに微笑む彼女に私は胸を突き動かされた

一言も私たちはしゃべらぬままで、そばにいるお互いの親が勝手に話を進める
彼女はひたすら、父と母であろう者の話を聞いていた
私は、その会話を全くと言うほど聞かずに、名も知らぬ彼女に心を引かれていた

ようやく話は一段落つき、食事でもしましょうとなった

知らない屋敷の中
私は父と母に連れられ、ひどく豪華な夜食を食べた

気づくと彼女は部屋にいなかった
父に「少し失礼いたします」と一声かけ、延々と聞こえる声を背に部屋を出た

少し歩いてみると、彼女は夜空を見ながら座っていた
私はただ座る姿美しく感じ、おどおどとしていた

『麗十様、どうかいたしましたか?』

彼女は海のような瞳を向けて話しかけてくる

『…貴女がいなくなり、様子を見に来た』

彼女は一瞬だけびっくりしたような顔をしたが、ふふっと笑い手招きをした
私は誘われるがままに隣に座る

少しの間 沈黙が続いたが、彼女は口を開いた

『麗十様には、夢はあるんですか?』

『様などはいらない。麗十と呼んでくれ』

『じゃあ、麗十…さん?』

『あ、申し遅れました、私は夜桜 夏綺です。どう呼んでもいいです』

彼女…夏綺はそう言う

『夏綺、素敵な名だな』

『そちらこそ』

夏綺は微笑みを浮かべたまま言う

『先ほどの話だったな。私は…そうだな』

『早く家族と縁を切りたい』

『私は幼少期から月来家の長男としての執着がすごかった。あんな親から逃げ出したいな』

『そうなんですね』

『私は、父上の願いを叶えればそれでいいんです』

『…夏綺』

『お前は…、私との婚約は嫌か?』

『…いえ』

『私は麗十様に好意を持っている…ので』

『んな…!///』

『ふふっ、顔が赤いですよ』

そんな話をして、過ごしたお見合い
もう戻らない、妻の声

そんな物が頭でグルグルと渦を巻く

??「来ましたか」

ローブを被った女が声をかけた

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りんご◎ - 私もやろうと思いましたが、気づいたら夏休みはあと1週間ちょっと……。 (2022年8月11日 19時) (レス) @page17 id: 088b936db2 (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子(プロフ) - たまごさん» 凄いですね!私は夏休み中の自由勉強にやる予定です!まだ内容は決まってませんが… (2022年7月14日 16時) (レス) id: 45a95b1035 (このIDを非表示/違反報告)
咲く来@桜の木の下でお茶会しましょう!(プロフ) - たまごさん» すご!私は語彙力無いんで無理ですね。悲しい。( ;´・ω・`) (2022年7月14日 6時) (レス) @page14 id: 39b2f86bf5 (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - あ!私去年やった!小説コンクール、今年の分も書いてます。…去年出したのは一時通過までだったな… (2022年7月14日 6時) (レス) @page14 id: 6747865d62 (このIDを非表示/違反報告)
綿菓子(プロフ) - プロフィール作れたし、ログインできました! (2022年7月12日 18時) (レス) id: 45a95b1035 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:綿菓子 | 作者ホームページ:ないです!  
作成日時:2022年7月4日 19時

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