人魚姫【十龍之介】 (ページ15)

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*Aside

ある程度混雑が終わり、ほっと一息。
ばあちゃんとじいちゃんも椅子に座って休んでいる。厨房大変だもんね。
父さんはまだ元気そうだ。腰に手を当てて、海の方を見ている。

うちも、そんな父さんの隣に椅子を置き、ドカッと座る。
「今日の波はいいぞ
A、泳いでくればどうだ」
「まじで！
泳いでくる！」
父さんがそんなことを言うなんて珍しい。
うちは、エプロンの下に水着を着ている。
動きやすいし！笑

ぽいっとエプロンを投げ捨て、砂浜を早足で歩く。
午後になると砂浜熱くなるから、ビーサンを履かないと。あと、貝も踏むと痛いからね

まず体慣らしに、足だけ浸かる。

「おぉ～」

火照ったからだ、照りつける太陽にちょうど良い水温。ちょっと冷たいくらいが気持ちいい。
バシャバシャと数回足をばたつかせる。

「わっ」

どうやら周りにいた人にかかってしまったようだ

「あっ…ごめんなさい」
「ううん大丈夫だよ
………って、知念ちゃん」
「つなしさん！」

ビーチボールを小脇に抱えている。
海が似合う男だぁ～

ついついその逞しい上半身を見つめてしまう。

「知念ちゃんは今休憩？」
「そうなんです！
父に泳いでこいって言われて、遊びに来ました！」
「そっか。じゃあ俺たちと遊ぼう！」
「え！？いいんですか！？」

もちろんだよ～とにこやかな笑顔。
あ～…素敵…。

「お、こないだの。
その水着かわいいな」
「ややや、八乙女さん！？」
八乙女楽に褒められた！？嬉しい！！

「へーー…
貧相な体してるね。ちゃんと食べてる？」
「うっ…！！！九条さん、うるさいです…」
九条天の言葉、いろんな意味でグッサリきた。

「名字じゃなくていいぜ」
「名前で呼んでよ」
ピッタリとハモるふたり。
こんな有名人を下の名前で呼べるかボケ！

「…俺も呼んでもらいたいなぁ」

う、つなしさんの頭から耳が生えてるように見える。かわいい…

「が、楽さん… 天さん…
りゅ、
龍之介さん…ｯ」
つなしさんの名前をいう時だけ異常に心拍数が上がった。何故。
「……龍のときと反応が違うのはなぜだ」
「…楽、そっとしといてあげて」

このあとたくさんビーチバレーやらドッチボールみたいなのをした。
マネージャーさん(姉鷺さん)にも顔を覚えてもらって、楽しい1日だった。

「…このあと、りゅ、龍之介さんに会うのか…」
明日のライブ、楽しみだなぁ…

別れの時間まで、刻一刻と迫っていることなんて

私は気づけやしなかったんだ