人魚姫【十龍之介】 (ページ14)

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*Aside

チュンチュン、雀の泣く声が聞こえて目が覚める。
ぼんやりとした頭のまま、身支度を整える。
「…今日は、また会える…」
その次の日はファンとしてだけど、会える。

「よしっ！」

気合いを入れて、店の手伝いをする。
今シーズンは何故かお客さんがたくさんきた。
去年よりも有名になったらしくて、カップルや家族連れが多い。

最近売れるのはかき氷や焼きそばなど。
うちのお店のは特別美味しいんだよ！
なにせ、ばーちゃんとじーちゃんが作ってるからな！

ふふんと鼻歌を歌いながらお客さんの元へ注文された料理を届ける。
「ラーメンが2の、かき氷1、そして焼きそば3です」
「あらありがとう～
さすがAちゃんね
あと、大人っぽくなったかしら」

近所に住んでいるおばちゃんだった。
田舎なので、近所との仲は異常に良い。よくお菓子やお金を貰うものだ。

「いえ！そんなそんな～
ﾖｼﾄくんもおっきくなったね！」
「うん！
ぼく、野菜すききらいしなくなったんだよ」
「おー！それはすごいやぁ！！」

かき氷を頼んだﾖｼﾄくん(5歳)に微笑まれ癒される。
頭をよしよしと撫でるともっと笑う。

あーかわいいなぁ！
お姉さんもっとがんばれちゃう

おばちゃん達の元を後にした。

「Aや～
また新しいお客さんが来たみたいなんだけど、案内してやって～」
厨房の方からばあちゃんの声がする。
お昼時は一層混むから、手が離せないみたいだ。

入口の方を見てみると男性３人がいた。
(女性と思わしき人物もいるので４人)

「はーいっ！
いらっしゃいませ！海の家“ぱーる”にようこそ！
では案内させてもらいま………………

つ、つなしさん！？」

サングラスをかけたガタイと褐色のいい男性。
よくよく見るとつなしさん。
左には色白のサングラスをかけた九条天。
右にはこっちも負けじと色白のサングラス八乙女楽。
女性か男性か迷うピンク髪の人…マネージャーさんかな？

突然の訪問にめちゃビックリする。

「あはは、バレちゃったか…
リハも終わったから、遊びに来ちゃった」
「いいいらっしゃいませです！！
どうぞゆっくりしてってください」
緊張しながら席まで案内する。
わーなんか、彼氏が実家に来たみたいな…って！

どんな例えしてんのうち！！
自分で自分の墓穴掘った……

「ではご注文がお決まり次第お呼びつけください」
そう言って離れた。

ばあちゃんから運べ～って念が来てるからね(笑)