孤独な子狐は鴉の群れに second stage (ページ9)

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38話ページ9

Aside
俺は驚いて動けなかった
目の前には今日いるはずないと思っていた北さん
さっき先生が話していたのは、この事だったのか
そう思った時
俺は北さんに引寄せられ、思い切り抱き締められていた

北「会いたかった、やっと会えた…」
北さんは更に強く俺を抱き締めそう何度も呟いていた
俺は抱き締め返すことも、振り払うこともできなかった

その時
「Aに触るな」
『あ、…牛島さん、』
牛島さんが俺と北さんを引き離し俺を抱き締めた

牛島side
たまたま通りかかったらAが稲荷崎の主将に抱き締められていた
しかしAは、震えていた

俺は知らぬ間に2人を引き離しAを後ろから抱き締めた
牛島「Aに触るな」
と稲荷崎の主将に向かって言った
自分がどうしてこんなことをしてるのかはわからなかった
ただ、Aが抱き締められてるのをみていい気分はしなかった

北「なんや、自分。Aのなんなんや」
Aのなんなのか…

俺は

牛島「Aの元チームメイトであり、今はよきライバルだ」
『…牛島さん…』
俺はAを抱き締める腕に力を入れた

北「…そか。ほなA突然ごめんなぁ。またあとで」
そう言い稲荷崎の主将は戻っていった
それでも俺はAを離さなかった

Aside
あれからどれだけ経っただろう
牛島さんに助けられてからずっと抱き締められたままだった
『あの、牛島さん？』
呼んでも無言で、なにも言おうとはしてくれなかった
その時
縁下「A！って、牛島!?」
『力！』
力が稲荷崎が来ると聞いて俺を探してくれていたらしかった
すると牛島さんは俺を離してくれた
縁下「大丈夫だったか？なにもされてないな？」
『おう、牛島さんが助けてくれたからな』
そう言い俺は牛島さんの方を向いて
『牛島さん、ありがとうございました』
牛島さんはｺｸﾘとうなずくと体育館の方へ戻っていった
縁下「俺たちも戻るか」
『おう』
そうして俺たちも体育館に向かった

体育館に行くと稲荷崎は居なかった
どうやら青城や白鳥沢も来ていたらしく他の体育館で練習をしているらしい
でもさっきのは本当にタイミングが悪い

膤はバレー部にいるのだろうか
もしかしたら本当にやめているかもしれない
膤はバレーをやめたのに俺だけやってていいのだろうか
いくら膤が俺を攻めなくても、俺のせいで膤はバレーが出来なくなったのに…

そのあとの試合は膤のことしか考えてなく全く集中できなかった