私たち結婚しました〜アノ芸能人が新郎新婦になったら〜

14 ページ46

ギュっ


『え？！』


急に後ろから抱きしめられて


誰が抱きしめたかなんて考えなくてもわかる


「あと１時間なら許してもらえるよね」



『ちょ、なにしてるの？離してよ』


「夫婦の時間だからいーの、こうやってイチャイチャしてようよ」


残りの１時間はまだ夫婦の時間だから許される


私をギュッと抱きしめる腕に手を添えて目を瞑る


こんな幸せな時間がずっとずっと続けばいいのに


手を握ったり


見つめあったり


永嗣くんのたくましい腕にしがみついたり


幸せな時間が


このままずっと






ゴーン・・・ゴーン


１２時を知らせる鐘がなった


「鳴っちゃったね」


『ん』


１２時０３分


『もう・・・』


「ん・・・」


ギューって抱きしめられた


けど


私はもう抱きしめ返せない


カチンっとテーブルに永嗣くんが指輪を置いて


私もその横にそっと指輪を置いた


永嗣くんが荷物を持って玄関に向かう


「・・・今度は試合、テレビじゃなくて観に来てよ」


『やだよ、ベルギーなんて遠すぎる』


「確かに、じゃあ代表選で日本で試合があったら」


『行くのめんどくさいから、テレビの前から応援してる』


「やっぱり干物だね」


そう言って笑う永嗣くん


『ん』


「・・・じゃあ、行くね」


『ん』


「行ってきます」


『いってらっしゃい』


バタンと閉まった扉


足音がどんどん遠くなっていく


私もリビングに戻って荷物を取りに行って早くここを出ないと

15→←13

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す