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ーーーゾロside
(スモーカーと、Aが……？)
ゾロの中のドス黒いものが一気に沸点まで到達した。
Aに視線を向けると、怯えた顔で後退る。
ゾロはその分詰めたが、急に踵を返してAは走り出した。
それがさらに腹立たしさに拍車をかける。
追いかける為に走り出そうとするとナミとサンジの制止の声が聞こえたが、ゾロは無視して走り出した。
『やっ…ゾロ、離して！』
ゾ「…逃げるな！」
一味の姿が見えなくなった所で、難なくAに追い付いたゾロが腕を掴んだ。
逃れようと足掻くAに苛立ちを覚え、掴んだ腕を引き寄せると簡単に胸の中に収まる。
その体は微かに震え、涙混じりの声で恐怖を訴えている姿にゾロは我に返った。
ゾ「A…」
『(ビクッ)』
ゾ「……わりぃ、怖がらせるつもりはなかった」
震えるAをさらに力を込めて抱き寄せると、その背中を優しく撫でてやる。
しばらくそうしていると、Aの震えは止まり力が抜けてきた。
ゾ「……」
『ゾロ、ごめんね』
ゾ「いや、俺も悪かった。でも、なんでよりによってスモーカーなんかと一緒にいたんだ？」
『それは…』
ゾロとたしぎが話てるのを見て、近付きたくなかったらしい。
それで、たまたま声を掛けてきたスモーカーを気晴らしに誘ったと言う。
Aの行動の理由は理解した。
だが、納得なんかできるわけが無い。
ゾ「別に俺があの女と喋ってよぉが、こっちに来ればよかったんじゃねーのか？」
『そんなの、行けないよ…』
ゾ「なんでだよ」
『ゾロと他の女の子が、楽しそうにしてるのなんて…近くで見たくないもん』
ゾ「……は？お前それって…」
『私以外の女の子と、仲良くしちゃ…………ヤダ(ﾎﾞｿ)』
ゾ「……っ//」
嫉妬。
ゾロはやっと合点がいった。
要はスモーカーに声を掛けたのは、ゾロへの当てつけ。
ゾロは不謹慎にも嬉しさでニヤけそうになる口元を手で押えた。
ゾ「わりぃ、不安にさせた」
『浮気者』
ゾ「は？」
『遊び人』
ゾ「おい」
『ゾロなんて…大嫌い』
言葉とは裏腹に、Aはゾロの首に腕をかけ胸に擦り寄ってきた。
悪態も、その仕草も……
愛おしく思うのは、惚れた弱みなのだろうかー···
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作者名：みき | 作成日時：2020年8月9日 17時
