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私はひとまずゾロの部屋を覗いた。
しかし、案の定彼の姿はなかったので展望台のジムへ向かった。
(あ、居た！)
展望台に登り、ひょこっと顔を出して室内を見るとそこに目的の人物を発見した。
ゾロは片腕で倒立しながら腕立てをしていた。
人間技じゃない…と呆気に取られそうになる頭を振って、声を掛けるタイミングを伺う。
そうこうしている内にゾロは姿勢を戻し、タオルを手に取った。
『ゾロ』
ゾ「？！」
そのタイミングで私が名前を呼ぶと、ゾロは驚いた顔で振り返ったがすぐに視線を逸らされた。
チクッ、と胸に痛みを感じたが、そこで負けたら意味が無いと奮い立たせて言葉を繋いだ。
『ゾロ…怒ってる？』
ゾ「……」
『年齢のこと黙っててごめんね。隠すつもりはなかったんだけど、結果的にこんな風になっちゃって…ごめんなさい』
ゾ「……」
ゾロからの返答はない。
何だか泣きそうになる。
でも私が泣くのは間違ってるから、グッと耐えて言葉を続ける。
『私ね、ゾロよりだいぶ年上だから…若いゾロからしたらオバさんだから……言うのが怖かったの』
ゾ「……」
『ねぇゾロ………私の事…嫌いに、なっちゃった…？』
目に涙が溜まっているのが分かる。
瞬きするだけで零れそうだ。
私は唇を噛んで耐える。
すると、今まで私に背中を向けていたゾロがこちらに向かって歩いてきた。
ゾ「……」
『ゾロ……って、え！ちょ、わッ？！』
目の前まできたゾロは、その場にしゃがんで私の脇に手を差し込んだかと思ったら、ヒョイッと持ち上げ立ち上がった。
展望台へのハシゴから顔だけ出していた私は、ゾロによって完全に室内へと入れられた。
そのまま床に降ろされたと同時に、私は彼の逞しい胸へと抱きしめられる。
ゾ「嫌いになんて…なれる訳ねぇだろ」
『ゾロ…』
ゾ「惚れた女の年齢なんて、関係ねぇんだよ」
ギュッと抱きしめる腕に力が込められる。
それが嬉しくて、私も彼の背中に腕を回した。
『ごめんね、ありがとう』
ゾ「もう、隠し事すんじゃねぇぞ」
『うん、分かった』
ゾ「あと自分のことババァとか言うんじゃねぇ」
『ふふ、それは難しいな』
ゾ「言うな」
『善処します(クス』
こうして私達は無事に仲直りすることが出来たのだった。
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作者名：みき | 作成日時：2020年8月9日 17時
