アプリコットフィズ【Sho.S】

33.壊れかけのブレーキ ページ33

食べているのが和食だから

ある程度話が落ち着いてから飲んでいるのは

ワインとかカクテルじゃなくて日本酒。

一応国産ワインとかも選べたっぽいけど

せっかくいつもと違うんだからお酒もってことでベタにいくことにした。


Aちゃんは最初のうちは

銘柄をじぃーっと見て、

ゆっくりと舌で味わってたから

やっぱ職業柄、無邪気にお酒を楽しむとか厳しいのかなぁなんて思って

内心”失敗したかも”なんて焦ってたんだけど

10分くらい前から

俺が思ってたのとは真反対にも等しい事件が起き始めていた。


「しょぉくん、

明日もおしごと早いんでしょ〜？

こんな時間まであたしとふたりでいていいのぉ〜？」


甘い声、

潤んだ目、

火照った頰。

風邪をひいたときにも同じような感じではあったけど

でもやっぱ健康体でこう来られると色気が違う。

もともとかわいいよりは色っぽい雰囲気の子だし。


更に今日は首元の大きめに開いた服。

鎖骨はほんのり赤くて

その先へ続く柔らかな膨らみも容易に想像ができる程度には露出してるし

俺を誘ってるとしかもう思えないんだけど。



いきなり酔っ払うとか反則ですよお嬢さん。

てかなんで洋酒は強いくせに

あんまアルコール度数変わんない日本酒でこうなっちゃうわけ？！

確信犯ですか、ねぇ！


「明日は9時からかな。」


出来るだけ平静を装うけど

正直グラグラの理性がいつまで保つのか、俺にも定かじゃない。

てかもう、今にもブレーキは壊れそう。

はぁ、個室にしたの失敗だったかも。

大事にしたいから、ぜってぇやらかすわけにはいかないけど

でも大好きな女の子にこんな風にこられて

我慢しろなんてジジィでも厳しいだろーよ…。

俺まだ30過ぎだよ？


「ふふっ、じゃあもうちょっと2人でいれるねぇ。

嬉しいなぁ〜」


「そうだね(笑)」


一応笑ってはみるけど

あーどうすりゃいいのもう。

さっきまでふつーに相葉くんの話とかしてたのに！


ホント、完璧なくせにこういう綻びをたまに見せてくるの反則だよ。

その度に、確信犯でもここまでは出来ないでしょってくらいに

俺の心をざわめかせてんだから。

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