夢語神龍弐【名前固定】 (ページ40)

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四節　八部ページ40

そこでふとあの赤髪が脳裏にちらついた。そう言えばあの赤髪は結局何処に…？
　ナオは思わず外へ飛び出す。突然のことに驚きつつも黒龍達も後を追った。
　古びた柵(フェンス)を越えて廃屋街への入口を探す。
　方向感覚を失わないように自分達がいただろう方角へ向かうと人口木々で出来た入口を見つける。入口を通ると少し奥の方で何やら足が見えた。誰か倒れているのかと駆け寄ってみるとあの鮮やかで綺麗な赤髪が視界に入る。

「アカ」

　ナオはアカに駆け寄り、頬に触れる。その瞬間アカは綿のように溶け消え、一枚の紙が現れた。

　〔この赤髪は預かった。こいつを仲間と見るならばここに来い。場所は________〕

「南区域リコリスの廃屋街先。消滅都市エリア、ボス塔」

　消滅都市エリアとはその名の通り、ある日突然消滅した都市のこと。都市が消滅したことでその影響があったのが都市を頼りとしていたこのリコリスの廃屋街、基柳町。活気あったその町は突如として起きた都市の消滅により都市にいた人が消滅、品物の消滅に加え大損害。物資も人もお金も消え、一気に生活が苦しくなりいつしか廃屋街となった。そんな悲しい思い出を花言葉に準えリコリスの廃屋街と皆が呼んだ。再び、活気あるあの町の再会を願って。
　そしてその消滅都市エリア内にあるのがボス塔。都市が消滅したことにより更地となったその場所は、悪党の溜まり場となり個々のグループごとに建物を立て始めていた。それがやがてボス塔と呼ばれるようになった。今回、そのボス塔にアカがいると言うのだ。そして、この紙の主はきっとあの時出会った目にキズのあるあの男なのだろう。主、と声がかかり振り向けば黒龍達が走ってきていた。

「勝手にどっか行くな。何かあった時、対処出来なくなる」
「大丈夫、それよりこれ」

　紙を黒龍に押し付けるように渡す。

「ここに向かう」

　黒龍は中を見て目を見開いた。

「……この書き方………」
「そう、ティナの時と文の書き方が変わんない。多分同一人物だよ、これ」

　黒龍の舌打ちが小さく聞こえた。一連の出来事も全て察しが着いたのだ。ナオ達は急いでボス塔に向かった。

　アカを助ける為に。