二節 十三部 ページ14
黒龍も不思議に思ったのかチラリとこちらを見てきた。
「自分の手は汚したくない。だから子分っていうの？部下を使った。それと、初めに撃ってきたやつ、あれさ、斬られるのわかってて撃ってるから警告みたいなものでしょ？そんでもってその能力上多分おっさんは不意打ち系が得意だから真正面からは戦えない、以上」
すると橙龍も気になっていたのかナオに質問した。
「……何故不意打ち系が得意とわかるんだ？」
「え？だって金属を銃と違って音を出さず飛ばしてくるんだよ？だったらその金属に意識向けてナイフで首とかガッといくのが早いし楽じゃん」
「……なるほど」
男は呆れたのか銃を降ろし、クルクルと右手で回し遊び始めた。
「へェへェ、頭が回るのはいい事だが深読みがすぎるんじゃねェか？」
「ん…まぁおっさん筋肉だしなぁ」
その言葉と共に肌が強くぶつかり合うようなデカい音が鳴り響く。橙龍がいつの間に男の背後に回って回し飛び蹴りを顔面にかましたが男はそれを右腕で防御したことによりその音が出たようだ。男が橙龍をギロリとみやるとその顔面めがけて拳が飛ぶ。ナオは瞬時に男の元へ移動し足元を狙った滑り回し蹴りに逆回転回し蹴りで腕を弾いて橙龍を守り、刀の刃を男の顎下で寸止める。
「……手ェ出したら殺す」
「殺しゃいいだろうよ」
「生憎ながら殺しはしたくないもんでね」
「殺したくせに」
その言葉が途端にナオの中を駆け巡る。
「………そう……だね」
ナオは刀をゆっくり下ろしてしまう。
その姿を見た瞬間キレた者が二人。
「「……殺す」」
漆黒の髪と金色の髪が靡く
黒龍と金龍
黒龍はその刀を男の顎下へ。金龍は持ち前の糸技で少しでも動けば切れるように仕掛けた。
「我が主を傷付けたやつは誰であろうと、主が止めようと、容赦はしない」
「大事な大事な主様を傷付けたんだものどうなるか、わかってるんだよね？」
「…はは………やかましいな」
男は少し笑うと人が変わったように急に真顔になる。
その一瞬で冷える空気に皆息を呑んだ。その殺意も混じった赤黒い瞳は恐怖を煽るにはそれだけでも充分なくらいだ。ナオの頭の中でカンカンカンと警告音が響く。
帰らなきゃ、こいつと戦うのは危ない。でも、危険は早くに摘むべき。
だがっ………これは……っ
「主！」
「ぅえ」
惑うナオを月色の瞳が捉える。
「我が主、仕える我らに命令を」
「っ…」
考えてる暇はない、瞬時に決めろ自分＿＿＿
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2019年7月28日 19時
