夢語神龍弐【名前固定】 (ページ11)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:1,202 hit

二節　十部ページ11

「主っ!!」
「ぁっ………クロ………」

　涙が枯れてから数分後、出入口で息切れした黒龍がいた。泣き叫んだナオの声にダンスホールへ慌てて駆けつけてきたのが直ぐにわかった。
　黒龍はナオの元へ駆け寄ると彼女の姿を見て全てを察する。

「クロぉっ……どうしようっ……ティナ…殺したっ…………殺しちゃった………あの子もっ…自分を傷つけないようにっ…手加減してくれてたのに………っ…わかってたのに……ぅぁ…結局っ……ぅ………殺してしまった……っ！とっても優しくていい子を………っ…このっ…この手っ…で…っ…ぁう…………殺しはしないって……決めてたのにぃ……っぁ……ぁああぁあぁ…………」

　再び溢れる涙。黒龍はただ寄り添うことしか出来なくてぎゅっとナオを抱きしめた。

「ひぐっあぅっぁああぁあぁぁあああぁあ」

　ぎゅううと黒龍の服を掴んで黒龍の胸で、腕の中で泣くの姿は黒龍にはすごく小さな姿に感じた。

(……俺が守らなねば、我が主を………もう、泣いて欲しくない。こんなこと、この先当たり前になっていくんだろうけど、主には笑っていて欲しい………)

　ぎゅっと黒龍は抱き締める力を強めた。黒龍は『主は悪くない』なんてことは最後まで言うことは無かった。そんなこと、ナオは求めてないことを知っているから。

二節　十一部→←二節　九部