十三話 ページ14
今以上に傷つくこと、それは一体どんなことなのか
考えたくはないけれど
もしそれが私の【役に立つ何か】であるのであれば
それでもいいと思った
もしその怒りを私にぶつけることで
満足するのであれば、
彼らの役に立つことが出来るのであれば
「私は、どんなに傷つけられようと
こんな私が傍にいることを許してくださるのであれば
何も出来ない私が何かお役に立てるのであれば
私は、彼らを守り続けます。Dr.貴方も勿論」
私は
この軍に、我が主グルッペン・フューラー総統閣下に、
消えることの無い永遠なる忠誠を誓ったのですから
「彼らに傷がつくことがないのなら
私にはどれだけ傷がついたって構わない
私は機械兵器、修復なんていくらでも出来る
【ヒト】とは違う……私だから…」
………そうかい、
と、辛そうな悲しい声が聞こえた
何故そんな声を出すの？何故そんな…………
私は機械兵器だから、
ヒトではないから分からない
なんで私にはヒトならわかることがわからないの
わかることが出来ればどれだけ…………
私は失礼しますと頭を下げて科学室から出た
涙、というものが瞳から流れた
あぁ、こういう所はヒトらしいのに
壁に寄りかかり引き摺るようにそのまま下に座り込んだ
ヒトと同じく神経があり温度がわかる
ヒトと同じく味覚があり食事が取れる
ヒトと同じく触覚があり力加減を気をつけられる
ヒトと同じく聴覚があり色んな声を聞き分けられる
ヒトと同じく臭覚があり花の匂いを知れる
ヒトと同じく視覚があり色んなものを見ることが出来る
ヒトと同じく脳があるから学習できる
ヒトと同じく感情があるだろうから
笑うことが出来るし涙だって流す
痛覚はないから【痛い】がわからないけど
苦しそうな表情はこっちも苦しくなる
心配だってすることも出来るし注意することだって
滅多にないけど怒ることだって
悲しい時はかなしいって言える
【幸せ】だって、言えるんだ
こんなにも【ヒト】らしいのに
何故私は【ヒト】じゃない…？
溢れて止まらない涙
ルナがぺろぺろと頬を舐める
「私は、何故【ヒト】でなく生まれたの
ルナ、私は一生【ヒト】にはなれない
なのに何故こんなにも【ヒト】らしいのだ
私には理解ができない
【ヒト】であれば理解することが出来るのか
【ココロ】があれば
知りたいことを知ることが出来るのか
私には何も【理解】できないのだ
何も理解できないのが
【悔しい】、悔しいんだ、ルナ」
ルナを抱えて蹲る
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彼方(プロフ) - のんたんさん» ありがとうございます。楽しんで頂けたのなら何よりです。一応後日談や番外編、これを書く上で気をつけていたこと等、書く予定ではありますので、またお会い出来ることを楽しみにしていますね。 (2020年8月8日 23時) (
レス) id: 27a2b67915 (このIDを非表示/違反報告)
のんたん(プロフ) - 貴方様の作品とっても素敵でした！！気づいたら枕がびしょ濡れに､､､また会える日を楽しみにしています (2020年8月8日 18時) (レス) id: 8085edeba9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宇宙ノ彼方 | 作成日時：2020年4月10日 13時
