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俺には一つ年上の幼馴染がいる。

生まれた時から家が隣で親同士が仲良しだから、必然的に俺と年の近いAはまとめて一括りにされる扱いだった。小さい頃から何をするにも何処へ行くにも一緒だった。

「Aちゃんとユンギくんは本当に仲良しなのねえ」「ふたりは双子みたいに一緒にいるのがしっくりくるわね」ずっと一緒にいる俺達を見て朗らかに笑う周りの大人達に、悪い気はしなかった。むしろその言葉に胸を張って頷いていたと思う。

Aが隣にいないとなんだかソワソワして落ち着かないし、たぶん、Aも同じような気持ちを抱いてくれていたと思う。───もしかしたら、初めてできた弟の世話を焼きたい感情から一緒にいてくれたのかもしれないが───幼い頃からそんな扱いを受けた俺は、Aとふたり、ずっと一緒にいることが当たり前だと思っていた。


「ユンギくん、ユンギくん!お母さんからお菓子貰ったから、半分こしよっ」
「うん、ありがとうAヌナ」
「ふへへ。私はお姉ちゃんだからね、ふふ」


Aは俺がAのことをヌナと呼ぶと嬉しそうに笑ってくれた。だから何かあればAのことをヌナと呼び、ここぞとばかりに甘えていた。Aは俺にヌナと呼ばれ甘えられることに弱いことは幼いながらに気づいていた。

俺とAは小さい頃から知ってる間柄だから、恋人に発展するようなことはなく家族みたいな、身内のような感覚だとヌナは思っているみたいだけど、俺はそうじゃない。否、そうじゃなくなったと言った方が正しいかもしれない。

ずっと一緒にいることが当たり前だと思っていたのは、俺だけだったらしい。


「ユンギくん聞いて!あのね、わたし、すきなひとができたの」


幼稚園に通い始めて半年ほど経ったとき、Aが俺に秘密を打ち明けるように恥ずかしそうに伝えた言葉は、俺の胸の奥を針でつつくようにやわく(きし)ませた。

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作者名:みいこ | 作成日時:2022年9月6日 15時

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