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いつもの風邪と様子が異なる体調不良に困惑したけれど、病院へ行くに至る前に治っていた。寝て治るのかと思ったけれど、今回は寝なくても治ったし。薬かとも思ったけど、同じく今回はまだ飲んでないし。
だとすれば、他に口にしたのはユンギくんが作ってくれたハチミツレモンだ。それとお粥。あとは紅茶とお水くらいで、特別なものは食べていないのだ。だから、私はこの結論に至った。馬鹿げてるかもしれないけど、大真面目に考えた結果である。
拙い説明で話した私の考えを笑わずに聞いてくれるユンギくんに、とりあえず引かれてはないみたいだから良かったと安心して心の中でホッと息を吐いた。
───ユンギくんのご飯が美味しすぎて他のものを受け付けなくなっちゃったのかな…。自分の胃袋ながら怖すぎる…
私の胃袋はそんじゃそこらのものではなく、ユンギくんが作ってくれる美味しいご飯じゃないとダメみたいだ。ママのご飯じゃないとイヤ!という子供のような駄々に少しだけ恥ずかしくなって目を伏せて、ユンギくんに聞こえるくらいの声量で呟いた。
「さっきまでお腹ぐるぐるしてたのに、治っちゃったの」
薬も飲んでないし、寝てもないのにね、なんて恥ずかしそうに笑う幼馴染の姿に、内心ほくそ笑んだ俺は、自分の中の感情を一切出さないように意識しつつ、それはそれは安心したという顔を作って言葉を放った。
「俺なんかのご飯でよければ、これからも作ってあげるよ」
───ああ、やっと、やっとここまでこれた。あと少し、もう少しだけ頑張ればきっとヌナは───
そんなの悪いよ、と断ろうとするAをどう丸め込もうかを考えるくらいには、俺は目の前の彼女が可愛くて仕方ないのだ。
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作者名:みいこ | 作成日時:2022年9月6日 15時