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「──Aヌナ？」
自分の中での結論に至ったとき。
タイミングよくお風呂を終えたユンギくんが、タオルで髪の毛をわしゃわしゃ拭きながら近づいて来た。
黒のTシャツとハーフパンツを身に纏った幼馴染が首を傾げてこちらを見ている。お風呂上がりで火照った頬に、まだ拭いきれてない雫が前髪から落ちた。
「あわわ…ユンギくん、ちゃんと拭かないと」
「ヌナこそ乾かしきれてないよ」
「ちょっと考えごとしてたの」
「考えごと？」
「──あのねユンギくん…わたし、わかっちゃったかも」
「…？」
私の突然の言葉に首を傾げたユンギくんは、そのまま私の隣に腰掛けた。襟足からもポタポタと落ちる雫が黒色のTシャツに染み込んでいくのが視界の隅で見えた。思わず手を伸ばし、ユンギくんが手に持っていたタオルで拭ってあげる。抵抗もせず無気力にされるがままのユンギくんに自然と口元が緩む。
そして私の言葉の続きを待つように静かに見つめてくる幼馴染に、動かしていた手を戻し、意を決して口を開いた。
「あのね、引かないで欲しいんだけどね。わたしね───ユンギくんが作ってくれたご飯じゃないと、気持ち悪くなるのかも…わたし、ユンギくんに胃袋つかまれちゃったみたい」
「……………へ？」
ぽかんと口を開けて呆けたような顔を向ける幼馴染に苦笑する。だよね、そうなるよね。私もびっくりしてるもん。でも、考えられる可能性はこれが一番高い気がするの。
───思い返せば、私が体調不良になるのは、ユンギくんが作ったご飯じゃないものを食べた時だった。
最初に気持ち悪くなった時も、ユンギくんのお弁当を食べたあと、差し入れでもらったたい焼きを食べていた。お祭りではりんご飴から焼きそばまで様々なものを口にした。友達とのランチだってそうだ。ユンギくんと家で1日過ごした日はなんとも無かったのに、外で食べると気持ち悪くなったりお腹や頭が痛くなったりしていたと思う。
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作者名：みいこ | 作成日時：2022年9月6日 15時
