蝕む愛でよろしければ【YG】 (ページ16)

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「──あ、起きた？」

いつの間にか眠っていたらしい。
ゆるい振動を感じて瞼を開けると、それに気づいたユンギくんから声がかかった。どうやらタクシーに乗っているようだ。

「わ、ごめんね、寄りかかっちゃってた……あれ、わたしなんでここに…？友達は…？」

「Aが俺に連絡くれたでしょ？ちょうど俺、イヤホン壊れたから近くまで買いに来てたんだ。だからすぐ来れた……俺が着いたらAヌナ気失っちゃったんだよ…間に合ってほんとよかった……ああ、ヌナの友達には俺がSUGAだってバレてないから安心して」

「そっかあ…ありがとうユンギくん」
「ん。もう少しで着くけど、それまで俺の肩に寄りかかっていいよ」

優しい声色で話すユンギくんに甘えて、そっと寄り掛からせてもらう。…友達には申し訳ないことをしちゃったな、落ち着いたら連絡しなくちゃと頭の隅で考え、目を閉じた。私の肩を抱くように腕を寄せたユンギくんの温もりにそのまま身を委ねた。

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少し目を瞑ったからマシにはなったけれど、マシになっただけである。頭痛と気持ち悪さが残っていたため、帰宅後すぐにソファーに横になって休んだ。

横になる私にそっとタオルケットをかけてくれたユンギくんにお礼を告げ、瞼を落とす。体調が悪くなる度に飲んでいたハチミツレモン、今日は飲まなかったけど、治るといいなあ…とささやかな願いを込めて。

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「ヌナ、ヌナ…起きれる？」
「………ん、ふああ」

どれくらい時間が経ったのだろう。少し遠慮するような小さな声でユンギくんが起こしてくれた。時計をみると、もう夕方になっていて、陽も沈みかけていた。体調は…変わらず気持ち悪い。胸の奥というか、お腹の真ん中がもやもやするような不快感がある。

「夕飯だけど、何もお腹に入れないのは良くないからおかゆ作ったよ」
「わあ、たまご粥だおいしそう…」
「ははっ、食欲はあるみたいでよかった」
「へへ…ユンギくんのご飯は私の食欲を刺激しまくってるよ」

気持ち悪さは残っているものの、おかゆの甘い匂いに釣られてテーブルへと足を運んだ。

ほかほかと湯気を立てた美味しそうなおかゆに、思わず唾を飲み込む。そんな私の姿をきっちり見られてしまい、ユンギくんはカラカラと目を細めて笑った。

「ふは…Aヌナ、どうぞ召し上がれ」
「もうそんな笑わなくたって……いただきます」

二人で向かい合うように席に着き、穏やかな夜ごはんを楽しんだ。

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