ビターチョコレート【黒尾鉄朗】 (ページ1)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:416 hit

STORY01 ページ1

.

.

午前10時50分。少しの倦怠感を伴っていつもよりも遅めに目が覚めた。
ベッドの周りに散らばった下着を拾い集めて身につける。約束の時間まで、まだ余裕あるしシャワー浴びよう。

「...あ」

ベッドから出ようとすると横がモゾモゾと動いて腕を掴まれた。

「もう起きるの？」

隣で眠っていた焦げ茶色の少し癖っ毛の髪に甘いマスクの彼が眠そうな目で私を見上げる。

「もう11時だよ、徹も早く起きて帰って、」

「あはは、吊れないなあ。昨日はあんなに可愛かったのに...ってごめんごめん、そんなに睨まないでよ」

徹と関係を持って間もないうちは徹の言葉に一々赤面して無駄な体力を使っていたっけ。
その頃はもう少し可愛げがあったのだけれど1年も経てば慣れるもので、彼を無視してお風呂場へ向かう。
シャワーを浴びて洗濯機をセットして、軽くご飯を食べる。

そういえば次の会議で使う資料もう少し纏めておかなくちゃな。
気が付けば仕事のことを考えてしまっている自分を心の中で軽く嘲笑して、私は出かける準備を始めた。

.

.