君はぐりーんeighter。３((green))

55.自分に嫉妬 ページ7

ﾀｸｼｰに乗って、もうすぐ家に着く。


ふと外を見ると、月がめっちゃきれいやった。



その月を眺めてて、
公園の前を通り過ぎた時、

ﾍﾞﾝﾁに人影が見えた。



……………Aちゃん？



自分でもびっくりしたけど、

その人影がAちゃんやって
一瞬でわかった。




忠｢すいません、ここでいいです！｣



お金を払ってﾀｸｼｰを降りて公園に入る。

Aちゃんに近寄っていくけど
全然気付いてへんみたい、




忠｢……………寒ないん？｣



声をかけてみると、Aちゃんが振り返る。



忠｢こんな寒いのに外おったら、
　 風邪引いてまうで？｣



｢……………おおく、らくん？｣



忠｢ふふ、正解。｣



｢今日はありがとうございました。
すごく楽しかった、です。｣



Aちゃん、楽しんでくれたんやな。

んなあれは、俺の早とちりやったんかな？



忠｢楽しんでもらえたんなら、光栄やわ。
　 こちらこそ、ありがとうな。｣


｢たっちょん、めっちゃかっこよかったです。｣



忠｢そっかぁ〜｣



かっこよかったのはたっちょんだけ？

ふと、そんなことを思う。



忠｢んな、大倉くんとどっちがええ？｣



つい、思ったことが口に出てしまって
その瞬間、Aちゃんは下を向いてしもた。


何ゆうてんねん、俺。

困らせてもうたやん。




忠｢あはは、冗談やって！｣



とりあえず、笑ってごまかそうとしたら



｢………い…です。｣



忠｢え？｣



｢大倉くんは、ずるいです。｣




Aちゃんは、
今にも泣きそうな声でそう言った。




忠｢…………Aちゃん？｣




下を向くAちゃんの顔をのぞき込むと

すっ、と一筋の涙が流れた。



俺はどうしたらええんかわからんくなって

泣き出してしまったAちゃんを
抱きしめることしかできひんた。

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