きなりいろ3

パリスブルー ページ35

Aside

ひとりになるとなんか私の方が緊張してくる。

何かしようと手に取りかけては置いて、
結局テレビの前に陣取った。

さっき出たばかりだからまだまだ始まらないのに、
わけもなくチャンネルを回したりして。

ピロン♪
スマホが鳴って見てみると、
"俺より緊張してるAちゃんへ"
"ベッドの枕の下を見てみてください。"
と翔平くんからのメッセージ。

ぱたぱた走って寝室へ行き枕をどかすと、
綺麗な字でAへ、と書かれた手紙。

こんなことする人なんだ、と感心しながら封筒から手紙を出す。

"Aへ
言葉にして口で伝えることが難しいなって思って、
手紙も恥ずかしいんだけど、書いてみました。

思えば、初めて会った時からAから目が離せなかった。
照れた顔も、拗ねた横顔も、ぐしゃぐしゃな泣き顔も、
少しどんくさいところも、泣き虫のくせに我慢強いところも、全部が愛おしくて。
Aの困った顔が見たくていじわる言ってみたりして。

初めて着た野球のユニフォームがトラウトのっていうのも
今でも思い出すと少し腹が立つ。

歪んでるかもしれないけど、
Aが俺の顔見て泣いたあの日だって、そんだけ頼りに
してくれてたんだって思うと嬉しかった。

鈍感で、でも疑い深くて、俺の言葉も真っ直ぐに
伝わらないのももどかしくて、強行突破してごめんね。
先に謝っとくけど、これから先の人生でも、
きっと振り回されることばかりだと思う。
でも、呆れずに付き合って。
隣にいてくれるだけで本当に安らげると思う。

たくさん辛い思いをして、でもこんな俺に出会ってくれて
本当にありがとう。愛してるよ。
　 翔平"

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