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HJ side
ホテルに帰ってカメラの中の写真を見返す。
1番最後に出てきたのはAの綺麗な笑顔で、
カメラをそっちのけで急いでAに連絡する。
明日の予定に付き合ってほしいとメッセージを送るけど
既読がついてからなかなか返って来なくて。
「しばらく日本に来れないんだけどな...」
一瞬気持ちが少し沈んで、でもすぐに立ち直って
行きたいところのスクショを何枚か送る。
「Aがいたら楽しいだろうな、」
たった数分なのにすごく長く感じた間。
通知音が鳴ってトーク画面を見ると
"休みなので付き合わせてください。"
の文字。
ほっと胸を撫で下ろして
明日は早いからさっさと寝なきゃ、
と自分にしては珍しく早く寝付けた。
朝準備をして、少しだけ早めに駅に着いた。
邪魔にならないところでしゃがんで
カメラをいじっていると頭の上から小さな柔らかい声が
落ちてくる。
『おはようございます!もしかして待ちました?』
「ううん、ちょうどさっき着いたよ。」
誰かと待ち合わせてどこかに出かけるのって
こんな楽しいっけ。
立ち上がるとさっきまで見下ろされてたのに
今度は一気に俺が見下ろす形になる。
「昨日も可愛かったけど、今日も可愛い。」
『...冗談得意なんですね』
そう言って俺の少し先を歩き始めるAを追いかける。
サラサラとなびく髪の隙間から
少し赤くなった耳が見えて、ひとり笑う。
「おねーさん、耳赤いですよ?」
『もうっ、ほんとに揶揄わないでください!』
ムッとして軽く睨んでくる表情もかわいくて。
次揶揄った時はちゃんと写真におさめよう、と心に決める。
「ごめん、ごめん。」
少し先をいく君を追いかけるこの瞬間が楽しいのは何でだろうか。
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作者名:み | 作成日時:2023年12月17日 22時