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Aside
最初はよそよそしかったヒョンジンさんが
いつの間にか一緒に図録を見るために近くにいて、
いつの間にか呼び捨てになっていたことに
別れてから気づいた。
不思議な人。
すらっとして少し髪が長くてシュッとした顔つき。
韓国の人はみんなカッコいいからな〜と
残った飲み物を口に入れる。
無事電車に乗ってご飯屋さんに行けたかな、と
頭の片隅にはあったけど
家に帰って課題をやっているうちに薄れていた。
家で夜ご飯を適当に済ますと音を立てるスマホ。
画面には"ヒョンジン"の文字
"A、明日も休み?"
休みです、と返すとまたすぐに返事が来る。
"明治神宮に行きたいんだけど着いてきてよ。"
この文面だけ見るとすごく親しい友達に感じるけど
決してそうではない。
落ちたチケットを拾ってあげて
美術展の感想を話しただけ。
何をしている人で、どんなものが好きで
どんなことに喜びを感じる人なのか、何も知らない。
どう返していいか迷っていると
"地下鉄にも乗ってみたい"
これも食べたい、と次から次へとメッセージが来て
笑ってしまう。
いっか、どうせ暇だし。
そう自分に言い聞かせて、
"休みなので付き合わせてください。"
と返す。
"ありがと!10時に駅で!"
かわいいスタンプと共に送られて思わず頬が緩む。
明日、何着て行こうかな、なんて
どこか楽しみにしている自分がいた。
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作者名:み | 作成日時:2023年12月17日 22時