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Aside

入社1ヶ月前。

少し早いけど引っ越してきて家がまだ荒れたままだけど
韓国の友達に会いにきた。

準備に気を取られて天気予報を見ていなかったせいで
少し歩いた時点で急なスコールにあってしまった...

近くにコンビニも見当たらなくて、
とりあえず目に入った、少し細い路地のようになっている
屋根のある場所に走る。

雨宿りには先客がいて、下を向いてスマホを構っている。

気まずさと、傘を持っていない仲間がいることに
少しの安堵と。

端によってハンカチで軽く拭いていると
頭の上から声が降ってくる。

「A...?」

少し鼻にかかったような柔らかい声。
数ヶ月前まで知らなかった、
ここ最近スマホ越しに聴き慣れた声。

『あ...ヒョンジンさん...』

こうやって予期せず会うと何と声をかけたらいいのか
分からなくて、お久しぶりです、と続けた。

ヒョンジンさんも呆気に取られてポカンとしていたけど
そのうち少し空いてた距離が詰められて
ハンカチを持っていた手をきゅ、と握られる。

「うわ、夢じゃないよね?」

深く帽子を被っているヒョンジンの髪の毛は
少し明るくなっていて。

『わたしもびっくりです、笑』

「いつ来たの?どの辺に住むの?傘は?寒くない?」

私の手を握ったまま次から次に聞いてくる彼こそ、
傘はどうしたんだろうか。

『昨日こっちに着いて、この近くに会社の借り上げの
マンションがあるのでそこに住むんです。』

「そっか...鼻赤くなってる、笑」

じっと見られるのに慣れていないし、
手を握られたままだし、
さらにかっこよくなってるし...

『韓国は寒いですね。私、鼻がすぐ赤くなるんです、笑』

「ふふ、かわいい。」

頭の上から甘い声が降ってくるから心がモゾモゾする。

「どっか行くの?寒いからもうやめて帰りなよ。」

『友達と会う予定なんですけど、傘がないのでとりあえず
雨宿りしてから行こうかなって。遅れるって連絡はしたので...』

「今雨雲レーダー見てたけどしばらく止まないよ?」

『え!そうなんですか?』

弱い雨なら走ってコンビニまで行くけど...

道路の向こう側を意味もなく見ていると
もう片方の手もとられてぐっと引かれる。

『わ、』

「じゃ、雨が弱くなるまで俺に時間ちょうだい。」

お返しに真っ赤な手あっためてあげる、
とヒョンジンさんの高そうなコートの両ポケットに
彼の手と共に突っ込まれる。

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設定タグ:スキズ , StrayKids , ヒョンジン   
作品ジャンル:恋愛
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作者名: | 作成日時:2023年12月17日 22時

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